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フリーアドレスが失敗する原因とは?【事例付き】

フリーアドレスとは、個人の席を決めず、空いている席に自由に座るスタイルのこと。しかしフリーアドレス導入に失敗し、固定席に逆戻りする会社もあります。ここでは、フリーアドレスが失敗する理由と、フリーアドレスに向いている会社、向いていない会社を解説。また、フリーアドレスを成功させる方法、失敗しない導入手順、成功事例などを見ていきます。

フリーアドレスが失敗する理由

せっかくフリーアドレスを導入しても、うまく運用できず、固定席に逆戻りしているケースがあります。フリーアドレスの導入に失敗してしまう理由を見ていきましょう。

導入の目的が不明確

フリーアドレスをなぜ導入するのか、その目的が明確になっていないと失敗しやすくなります。また、社員にフリーアドレス導入の目的が周知されていないと、マイナス面ばかりが目につき、フリーアドレス導入が失敗してしまいます。

席が固定化されてしまう

フリーアドレスを導入すると、社員は出社するたびに、今日、どの席に座るかを決めなければなりません。その作業を面倒と感じる人が多くなると、同じ席に座る人が増え、フリーアドレスでありながらも、事実上、席が固定化されてしまうことがあります。

新入社員の教育がやりにくい

新入社員には教育係がついて指導していきますが、フリーアドレスを導入していると、新入社員がどこに座っているか把握しづらくなってしまうことがあります。研修期間は、定位置に座らせたり、定期的に指導の時間を設定するなどの対策を取ります。

フリーアドレスに向いている会社の特徴

フリーアドレスの導入に向いている会社と向いていない会社があります。導入に向いている会社には、次のような特徴があります。

ノートパソコンを社員に支給している

フリーアドレスを導入した場合、社員はノートパソコンを持って、自由に席を決めることになります。社員が使っているパソコンがノートパソコン中心の会社は、フリーアドレスは導入しやすくなります。

ペーパーレス化が進んでいる

資料や議事録、社内手続きなどのペーパーレス化が進んでいる企業は、フリーアドレスが導入しやすくなります。大きな変化になりますが、フリーアドレス導入をきっかけに、業務や手続きのペーパーレス化・クラウド化に移行するという考え方もあります。

固定電話の使用が少ない

固定電話をあまり置かず、社員に携帯電話を支給している会社はフリーアドレスを導入しても、レイアウト変更による電話線の移設などが必要ありません。メールはもちろん、さまざまなコミュニケーションツールの活用も、フリーアドレス導入とともに考えたい項目のひとつです。

フリーアドレスが向いていない会社の特徴

一方、フリーアドレスが不向きな会社には、次のような特徴があります。

電話対応が多い

毎日の業務で電話対応が多い会社は、各デスクに固定電話が設置されているケースが多く、フリーアドレス導入のハードルは高くなります。電話を受けた社員が、担当する社員に電話を転送することが多い場合、フリーアドレスでは難しくなります。

紙の資料が多い

紙の資料が多く、頻繁に使う場合は、デスクの引き出しやキャビネットに収納し、出し入れすることになるため、フリーアドレスの導入は難しくなります。フリーアドレス導入には、紙の資料をデジタル化し、共有サーバーやクラウドに保存して、関係者で共有するなど、仕事の進め方を変えることが必要になります。

高スペックのPCや専用の機械を必要とする

システム開発など、高スペックのデスクトップパソコンが必要な業種や、専用の機械を使用する業種は、どうしてもそうしたハードウェアを席に設置して使用することになります。フリーアドレスの導入には不向きでしょう。

フリーアドレスを成功させる方法

フリーアドレス導入を成功させるためには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。

社員の座席をシステムで管理する

フリーアドレスは、社員が毎日座る席を決める手間がかかり、座る席がどうしても固定化されやすいデメリットがあります。それを解消するのが、座席をランダムに決めるシステムです。社員が出社すると、その日に座る席をシステムが自動で選択、「席を決める」というストレスを解消します。また、システム上で誰がどの席に座っているかを把握できるようになります。

個室・会議室タイプなど複数の席を用意する

フリーアドレスでは、多数の社員が共有して使用するスペースのほか、集中して作業したい人のための個室スペース、ブレインストーミングなどで使えるオープンスペース、会議やミーティング用のスペースなど、仕事内容に応じて使い分けられるスペースを用意します。
社員は仕事内容に応じて、最も適した席を選ぶことができ、クリエイティビティや生産性の向上が期待できます。

グループアドレスを導入する

フリーアドレスとはいえ、同じ業務に携わる社員は、近い場所に座っていた方が効率的な場合もあります。そのようなときは、フリーアドレスと固定席の中間の「グループアドレス」を導入するとよいでしょう。
グループアドレスは、同じ部署や同じプロジェクトの社員が一定の決められたスペース内に座るシステムで、スペース内の席は自由に選ぶことができます。グループ内での密接にコミュニケーションを取りながら、業務を進めることができます。

フリーアドレスの失敗しない導入手順

フリーアドレス導入に失敗しないための手順を見ていきましょう。

導入の目的を決めて社員に周知する

まず最初にフリーアドレス導入の目的を明確にする必要があります。フリーアドレスによって、どのような効果を期待しているのかを明らかにし、可能なら目標値などを設定します。そして目的を社員に周知し、共有します。

運用ルールを決める

フリーアドレスの導入では、固定席の時とは違い、いくつかの運用ルールを設定しなければなりません。席を決めるときのルール、個人の荷物やチームの荷物の管理ルール、共有スペースの使い方などを明確にしていきます。フリーアドレスを実際に導入したあと、運用しながら、ルールを見直し、調整していくことも必要になります。

レイアウトやデスクを決める

業務内容や仕事のスタイルにあわせて、レイアウトを検討し、デスクやチェアなどを選んでいきます。レイアウトの検討を外部の専門家に依頼する場合も、社内で意見や希望をまとめることが不可欠です。またデスクやチェアは、その後の仕事環境に直結します。人数の増減に応じて連結できるタイプや、キャスター付きのデスクなど、さまざまなタイプがあります。

フリーアドレス導入の成功事例

フリーアドレスの導入事例を見ていきましょう。

日本航空

日本航空はフリーアドレス導入とともに、業務文書などをデジタル化し、共有サーバーに保存することを徹底。ペーパーレス化をさらに推進し、フリーアドレス化とともに、業務の効率化とオフィス環境の改善を実現しています。

参考:
日経クロステック2017年4月19日掲載(日経コンピュータ記事)「どう実現?JALのテレワークと残業削減」

キユーピー

マヨネーズ、ドレッシングなどで有名なキユーピーでは、これまで部署ごとに分かれていた工場の間接部門をひとつの部屋に集約し、フリーアドレスを導入。同時にペーパーレス化を進め、業務の効率化を図っています。また間接部門がひとつの部屋にまとまったことで、部署を超えたコミュニケーションが活発化し、思わぬアイデアが生まれています。

参考:
日経クロステック2008年6月12日掲載(日経情報ストラテジー記事)「工場の間接部門でフリーアドレス導入進む、トヨタ流業務改善の一環として自発的に現場が導入」

失敗例を知り、フリーアドレスを成功させよう

フリーアドレスを導入する会社が増えていますが、なかには失敗するケースもあります。フリーアドレス導入を成功させ、そのメリットを生かすには、失敗の理由を知ることが第一。失敗を知り、成功事例に学べば、フリーアドレス導入を成功に導くことができます。

まとめ

フリーアドレスが失敗する理由

導入の目的が不明確・席が固定化されてしまう・新入社員の教育がやりにくい

フリーアドレスに向いている会社/向いていない会社

向いている:ノートパソコンを社員に支給している・ペーパーレス化が進んでいる・固定電話の使用が少ない
向いていない:電話対応が多い・紙の資料が多い・高スペックのPCや専用の機械を必要とする

フリーアドレスを成功させる方法

  • 社員の座席をシステムで管理する
  • 個室・会議室タイプなど複数の席を用意する
  • グループアドレスを導入する

フリーアドレスの失敗しない導入手順

導入の目的を決めて社員に周知する→運用ルールを決める→レイアウトやデスクを決める

フリーアドレス導入の成功事例

日本航空:ペーパーレス化・フリーアドレス化で業務効率化とオフィス環境を改善
キユーピー:間接部門を一つの部屋にまとめ、部署を超えたコミュニケーションが可能に

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