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フリーアドレスで郵便物をスムーズに受け取る方法とは?

フリーアドレスのオフィスでは郵便物をどうするのか、疑問に思われる方がおられるかもしれません。従来は一人ひとりのデスクまで届けられていましたが、フリーアドレスではそうはいきません。今回はフリーアドレスでの郵便物の扱い方から、フリーアドレスで生じやすいさまざまな悩みや問題とその解決策を紹介します。

フリーアドレスで郵便物の受取が不便になる理由

フリーアドレスの導入で席を自由に選べるようになった場合、今まで一人ひとりのデスクまで届けられていた郵便物はどうなるのか、疑問に思う人がおられるかもしれません。フリーアドレスでは、固定席が存在しないため、確かに担当者が「それぞれのデスクに郵便物を置いておく」というやり方はできません。代わりに郵便物が一人ひとりに間違いなく届くよう、別の手段を講じる必要があります。人によっては「不便になった」と感じるかもしれません。

フリーアドレスで郵便物を受け取る方法

フリーアドレスで郵便物を間違いなく受け取るための方法をいくつか紹介します。

チームごとに郵便受けを設置する

チームごとに郵便物をまとめて受け取るボックスを設置し、そこから各自が郵便物を取っていく方法です。オフィスの決められた場所や総務の近くにボックスやトレーを設置し、届いた郵便物を入れておきます。各自が郵便物を自分でチェックする必要があります。

メリット

従来、郵便を受け取り、一人ひとりのところまで届けていた手間を省くことができます。エントランスやリラックススペースの近くなど、社員が立ち寄ることが多いスペースの近くにボックスやトレーを設置すれば、誰も取りに来ず、放置される事態を防ぐことができます。

デメリット

チームの誰かが取りに行く必要があり、忙しいときには放置されてしまうリスクがあります。また、別のチームの郵便物を間違えて持っていってしまう可能性もあります。

個人ロッカーに郵便物を入れる

個人ロッカーに郵便物を入れられるようにし、担当者が郵便物をそれぞれのロッカーに入れる方法です。

メリット

これまでのように、郵便物は一人ひとりに仕分けられて届けられます。取り違えのリスクもありません。また、放置されることもなくなります。

デメリット

郵便物を一人ひとりに仕分けて、個人用ロッカーに入れるという作業が発生します。またロッカーの形状によっては、郵便物を入れるのが難しいケースもあります。

メール室(メールルーム)を設置する

規模が大きな企業では、郵便物や宅配物を受け取り、社内に配布する専門部署として、メールルームを設置しているでしょう。メールルームは郵便物や宅配物の仕分けを行い、各部署まで届けます。フリーアドレスでメールルーム業務にも見直しが必要になります。

メリット

専門部署を置くことで、郵便物の仕分けミスなどの可能性は小さくなります。またセキュリティ対策の面でもメリットがあります。総務の負担を減らすこともできます。

デメリット

専門の部署を設けるために人員が必要となり、コストがかかります。専用のスペースも必要になります。

郵便物の受け取り以外のフリーアドレスの悩みと解決法

フリーアドレスで新たな悩みや問題点となるのは、郵便物の受け取りだけではありません。他にどんな悩みがあるのか、解決法とともに紹介します。

お悩み:チームの帰属意識が薄れる

フリーアドレスでは席が自由になり、たとえ同じチームのメンバーでもバラバラに座ることになります。チームへの帰属意識、チームとの一体感が薄れやすくなります。従来とは違って、チームメンバーとバラバラで仕事をすることで孤独感を感じる人が出てくる恐れもあります。また、チーム内における自分の役割やポジションがわかりにくくなります。

解決法

チームはある程度、近くの位置に座るなど、席の選び方、連携して作業を行う場所について、一定のルールを設けます。あるいは初めから部署やチームの場所を決め、その中の席をフリーアドレスにする折衷案的な運用も考えられます。
ただし、席が固定化することを防ぐため、席をランダムで割り振るシステムなどの導入を検討します。

お悩み:どこに座ればいいか決められない

フリーアドレスは、座る場所を自由に選べるようになったことで、従来の固定席の時にはなかった悩みや問題が生じます。「どこに座ってよいか決められない」「隣に誰か座ると気になる」「希望の席がいつも空いていない」という類の問題です。フレックスタイム制で出社時間に違いがある場合、遅い時間に出社した社員は、ある程度、席が埋まった状態で座る場所を選ぶことになり、席選びに不満が生まれやすくなります。

解決法

こうした問題は、固定席では起こり得ない問題で、フリーアドレスのメリットの裏返しでもあります。この問題はルールだけでは解決しづらいので、席をランダムに割り振ったり、作業内容に応じて席の予約ができるシステムを導入するとよいでしょう。1人がずっと同じ席を専有するような事態を避けることもできます。

お悩み:ルールに馴染みにくい

フリーアドレスを導入すると固定席の頃との違いから、ルールになかなか馴染めない社員が必ず出てきます。特に、ずっと固定席で仕事をしてきたベテラン社員は、新しい働き方や新しい取り組みにうまく適応できない可能性があります。
なかには、フリーアドレスが導入された後も、固定席のように同じ席を利用し続ける人も出てきます。そうした社員に対しては、フリーアドレスの目的を時間をかけて説明するなど、時間をかけて新しい働き方に馴染めるようサポートしていく必要があります。

解決法

新しいルールを浸透させるには時間がかかるものです。フリーアドレスの目的を改めて伝えるほか、フリーアドレスに馴染めないことに、何か別の理由が潜んでいないか、上司とは別の視点で、総務や人事などの担当者が確認してみます。
席をランダムに決めるシステムの導入は、そうした問題を解決する手段にもなります。

お悩み:作業に集中できない

フリーアドレスでは、毎日仕事をする環境が変わり、周囲に座る人の顔ぶれも変化します。
人によっては環境が変わることがストレスになり、作業に集中できないと訴える人が出てくるかもしれません。
特に、これまでと違い、別のチーム、別の部署の人が近くに座るケースも出てきます。そうした場合、仕事の内容や進め方、ペースが気になるかもしれません。

解決法

フリーアドレスの中に、通常の仕事スペースとは別に、雑談や打ち合わせを禁止した「集中作業スペース」を設けます。ただし、ずっと集中作業スペースにこもりきりにならないよう、一定のルールを設けて運用します。

お悩み:社員の業務管理が行いづらい

フリーアドレスでの会社側の悩みとしてしばしば指摘されるのが、社員の業務管理が行いづらいというものです。毎日席が変わるうえ、必ずしも上司の目の届く範囲に座るとは限りません。むしろ離れて座わりたいと考える人も出てくるでしょう。固定席と同じ方法では業務管理は難しくなります。

解決法

毎日、きわめて簡単なチームミーティングを行い、朝は1日の業務予定を報告し、就業時は進捗を確認することはいかがでしょうか。フリーアドレスで離れた場所に座ることになっても、1日2回は必ずチームで顔を合わせることにもなります。
また社員一人ひとりの業務状況を把握できる座席管理システムを活用することもおすすめです。また、フリーアドレスは社員の自主性を信頼するシステムともいえます。新しい働き方では、従来とは異なるマネジメント手法が必要になることも理解する必要もあります。

フリーアドレスのメリットに注目!

フリーアドレスでよく聞かれる悩みや問題を紹介しました。郵便物の受け取りという日常的な問題から、新しい取り組みやルールに馴染めないといった問題まで、さまざまな問題が出てくるはずです。
ですが、それらは新しい取り組みや変化の際には、必ずつきまとうことです。フリーアドレスのメリットを改めて説明するほか、今回紹介した解決策を参考に時間をかけて解決してください。

まとめ

フリーアドレスで郵便物の受取が不便になる理由

フリーアドレスでは固定席が存在しないため、従来のような「それぞれのデスクに郵便物を置いておく」というやり方ができない

フリーアドレスで郵便物を受け取る方法

チームごとに郵便受けを設置する:個別に届ける手間は防げるが、担当者が必要であり、忘れたり間違えて配るなどのミスが発生する

個人ロッカーに郵便物を入れる:配り間違いや放置はなくなるが、郵便物の仕分け・配達という業務が発生し、備また品の形状が不向きな場合がある

メール室を設置する:専門部署を置くことでミスを防ぎセキュリティ面でもメリットはあるが、人員・コスト・スペースが必要

郵便物の受け取り以外のフリーアドレスの悩みと解決法

  • チームの帰属意識が薄れる
    →部署やチームでまとまりやすい運用ルールを決めておく
  • どこに座ればいいか決められない
    →席をランダムに割り振ったり、作業内容に応じて席の予約ができるシステムを導入する
  • ルールに馴染みにくい
    →目的を周知し、問題点は何か確認し時間をかけてサポートしていく
  • 作業に集中できない
    →雑談や打ち合わせを禁止した「集中作業スペース」を設ける
  • 社員の業務管理が行いづらい
    →毎日簡単なミーティングを行う、座席管理システムの導入など従来と異なるマネジメント手法に移行する