「学生室」に風通しの良い交流が実現。
フリーアドレス・「YourDesk」は大学の研究室向き。
- 大学名
- 東京都立大学様
- お話を伺った方
- 都市環境学部 観光科学科 教授
相原健郎様 - URL
- https://www.comp.tmu.ac.jp/tourism/
本学科では、工学や理学といった理系分野をベースに、「観光を科学する」ことを目標としています。観光の基盤となる地域の環境や文化の保全や資源の適正利用を進め、観光を活用して地域の魅力や価値の向上、地域経済の向上といった地域づくりを進め、総合力と専門性を身に付けるための教育、研究を目指しています。自然環境マネジメント領域、地域計画・マネジメント領域、行動・経営科学領域の3領域において、実践的な計画・実現手法を探求、研究します。
簡単に大学のご紹介をお願いいたします。
東京都立大学は、東京都が運営している公立大学です。私がいるキャンパスは八王子市にあります。東横線の都立大学駅から移転して30年以上経っています。京王線の、橋本に向かう相模原線の南大沢駅を降りてすぐにアウトレットパークがあり、そこから連続して大学に行けるという、ちょっと変わった立地です。多摩ニュータウンという計画的に作られた地区にあるので、歩きやすい、空の広い快適なところです。キャンパスは他の場所にもありますが、南大沢がメインキャンパスです。ここに文系から理系までの学部があります。
観光科学科というのは、皆様もよくご存じの「観光」を学問として扱うものです。「観光」というと「遊び」の雰囲気がありますが、自分が知らない別の社会、世界に知見を広げていくものが「観光」であると考えます。そこには、例えば街づくりというのも関わってきますし、経済、法律、文化など、我々人類が社会生活を営む上で必要なものがすべて繋がってきます。学問としては総合的な分野と考えられます。
もう少し別の言い方をすると、「観光」は人間社会そのものとも言えます。
我々は朝起きて会社に通勤して、といったルーティン化した行動の中で、とにかく最適なもの、効率的なものを追求していきます。これが日常です。それに対して非日常的な行動…「今日はちょっと飲んでいこうか」とか「週末桜を見に行こうか」といった、日常のルーティンから少し外れた行動、これらも広く「観光」だと私は考えています。ルーティン=合理化を追及するところではない部分に評価軸があるような人間の行動を対象に、科学という観点で捉えていくのが「観光科学」です。一般社会を対象とした科学ですね。
私の研究室の例でいうと、「ワークエンゲージメントと観光はどう関連しているか」など。生活の質を上げる…「心」の面で豊かな生活を求めていくうえで、それを実現するにはどうしたらいいか、社会はどうあるべきか、どんな技術が必要か。そういったことを研究しています。
我々が普段、例えば東京都内を移動しようと思うと、乗換案内などを見て最短・最安のルートを探しますよね。しかし「観光」の時になると、最短や最安が必ずしも善ではないわけです。そこが非日常の評価軸の難しいところです。風景のいいところを選ぶのか、有名な場所・モノが見られるところがいいのか、ワイワイとしているところがいいのか…いろいろな要素が入ってきます。情報を選んだり案内をしたりする、その本質はなんなのか。最終的には「人の幸せ」に通じるんですが、観光行動を客観的に捉え、さらに改善していくために、どう技術的にサポートしていくか、というのが我々の研究していることです。
大学で「観光」を扱っているところは多くありますが、文系の学部で専攻される場合が多いです。東京都立大学では都市環境学部という、理系の学部に位置づけられていて、技術も含めて「科学」として「観光」を捉えるのがうちの大学の特色です。
いつから「YourDesk」の導入を検討されましたか。
それ以前は他社のホテリングシステムを利用されていましたか。
2022年の夏ごろに検討をはじめ、秋ごろから導入しました。他のホテリングシステムなどは使っておらず、一から「YourDesk」を使わせていただいています。
観光科学科のなかに領域(研究グループ)が3つあり、そのうちの一つ「行動・経営科学領域」の学生が集う学生室という共有スペースがあり、そこで「YourDesk」を使用しています。領域の中には5つの研究室があるのですが、その研究室単位でのミーティングなども行う場所です。
導入するにあたって、私たちが抱えていた課題をご説明します。
それぞれの領域で学生室を使っているのですが、学部の学生(3年生から)が10人くらい、その他に大学院生がいて、全体で20人ちょっとくらいの利用者がいます。しかし、そもそも席の数が20ないんです。その限られた席を有効活用するにはどうしたらいいのか、というのがまず一つ目の課題でした。
そして、これは私個人の課題だったんですが…私がこの大学に移ってきたのは1年半前で、自分の研究室をもって自分の学生を教えることになったわけです。当時は、普段学生室にいる学年の中にはまだ私の学生はいなかったんですが、その(普段は学生室にはいない)人たちにとっては学生室は入りにくいという問題がありました。前から使っている人が座席を占有していて、気持ち的に入りにくい部分があると。それをどうにかしなければいけなかった。またコロナ禍で、うちの大学は早い段階から対面授業の方針を出し通学してもらっていましたが、それでも学生室にいない人がいるのに座席には荷物が置いてある。席を使っていない、入れないでいる 学生がいるのに席は埋まっているという問題をどうにかしたかったのです。
それから、研究室は基本的に独立しているんですが、領域は話の通じる人たちが集まっているわけですから、相互にコミュニケーションが取れれば発想も広がるし、知らないことを教えあえるんです。「タコツボ化する」といいますが、学生が自分のことしか見ない・自分の枠に入ってしまうということがないようにしたい。学生だけではなく教員の間でもフランクに話せる雰囲気をもっと作っていきたいという思いがありました。
それで、スペースが足りないという現実的な問題の対策とともに、改めて学生室の使い方を見直そうじゃないかということになりました。
大学院生だけで座席が占有されてしまわないようにし、学部生も自由に学生室に入って使える。学年をまたいで、もしくは研究室の違いも超えてコミュニケーションできるようにする。そのためにフリーアドレス化しよう、そうなると運用にはシステムが必要だということになり、御社の「YourDesk」の導入を検討しました。
何が「YourDesk」導入の決め手となりましたか。
そんなに複雑な機能はいらない、そこまで高級なシステムでなくていい。例えば会議室の予約や勤怠管理は我々は必要としていません。またMicrosoft365と連携なども不要、どちらかというとライトウェイトで軽快に動かせるということが重要でした。
「YourDesk」はサイトがキレイでわかりやすかった。動画で解説を掲載していますが、知りたいことがそこで見られました。
また、予約・チェックイン・チェックアウトの操作を簡単にしたかったんです。学生はスマホを使いこなしていますけど、とにかく手数を減らして手軽に操作できるようにしなければいけない。「YourDesk」はQRコードでチェックインできますが、それが手軽で使いやすいし、今の学生たちにも馴染むという点が評価点になりました。
実際、各座席にQRコードを貼っておいて、それを読み取って着席するよう指導していますが、学生も使いやすいようです。
ゼミで学生室を使う時は、中央のテーブルを丸々占有する形になりますが、その場合は予約をしておきます。予約状況はみんなが見られるようにしているので、それを見た人は「だったら今日は外に行くか」という風に、やんわりとしたスケジュール管理にも活用しています。
導入後の皆様の反応はいかがでしょうか。
うちの学生は理系ということもあって、「YourDesk」の仕組みの方に興味を持ったりしています(笑)最初、これはどういう仕組みでこうなっているのかな、と想像して楽しんでいましたよ。今は休み期間で学生室の利用率は低いんですが、これから研究の締め切りが近くなったり、みんなが学生室に集まってきたりした時に、ありがたみが分かっていくかなと思います。
学生同士の、学年を超えた交流が行われるようになったというのは、我々も確実に感じている効果です。大学院の2年生は、年齢も学部生と2~3歳違い、経験も知識も高いので、ちゃんとリスペクトされていますが、一方で学部生と親しげに話せるような関係性ができています。またこの3月に卒業した学生が学生室で卒論をやっている時に、別の研究室の大学院生が教えてあげてたりと、私がいなくても学生の指導をしてくれていて、とても雰囲気が良くなったんです。そういう交流は期待していた部分ではあるんですが、予想以上にうまくいきました。
「YourDesk」を利用しているワークスペースの状況・「YourDesk」利用の仕方を具体的にお教えください。
窓や壁に向かって設置されている個人で使うデスク=集中席と呼べるものと、「コラボ」と呼んでいる中央のミーティング用のデスクを使用しています。ミーティングはここで行っていて、ゼミ生がどこかに隔離されて話し合うというような形にはしていません。
私の研究室のゼミのミーティングをコラボで行っていると、集中席に座っている他のゼミの学生が、時々割り込んでくるんですよね。他のゼミでやっていることは彼らにも興味があるわけですから。私も彼らに意見を求めたりすることもあります。
私は研究室の壁をなくしたいなと思っています。もちろん違う内容の研究をしている人ではあるけれども、その研究はお互い緩やかに繋がっています。そのために、リアル空間でのコミュニケーションの良さをどんどん活性化していきたいという思いがあります。
インターネットは便利になり、ミーティングもPC上でできるようになりましたが、無駄話をしたり、周囲の会話が聞こえてきたりする中から得られていたものは、なくなってしまっていると思います。フィルターバブルという言葉がありますが、今の人は、自分が検索して自分で探した結果しか目に入らない、それ以外は無視してしまうという状態になっている、自分の見たいものしか見なくなってしまう。それは世界を狭めてしまう。本来外から入ってくる有用なものをシャットアウトしてしまうのはよくない…学生のうちは特にそうだと思うので、学生室をフリーアドレスにし、その効果を最大化したいという思いがありました。
YourDeskスタッフ:先生が学生さんのことをとても考えておられて、対策を実施されている大学なんですね。なんだかうらやましいです。
自分で言うのもなんですが、うちはいい大学だと思いますよ(笑)
「YourDesk」に関して、もし課題がありましたら教えてください。
ゼミのミーティングで、複数の席を選択した予約をしますが、スケジュールが変更になった時などに、いっぺんに変更できるようにしてほしいです。
また、よく教員や学生の間でスケジュール管理をするんですが、「この席を予約した」ということが、カレンダーに反映されると嬉しいです。
YourDeskスタッフ:予約一覧から、チェックボックスで予約した座席を選択していただいて、まとめて削除などはできます。それよりもっと簡単に予約の変更ができるようにというご希望は、開発担当に伝えておきます。
カレンダー連携は可能ですが、有料のオプションになります。
自社で開発されているのはいいですね。こちらの希望が反映される可能性が高そうで、意見の言いがいがあります。
最後に、「YourDesk」に関しての、今後の展望をお聞かせください。
手狭な学生室をうまく使い、交流を促進するために活用していますが、それが想定以上にうまくいっています。今、大学全体でスペースの再配分という話があり、2年以内に学生のためのスペースを別のところに移し、さらに広げる予定で準備を進めているんですが、今のスタイルが非常にいいので「YourDesk」がある前提で席の配置などを考えていき、スペースを有効活用したいと思っています。
余談ですが、今回私がフリーアドレスを導入することを考えたそもそものきっかけは、知り合いの大学教授がFacebookに「コロナで学生が来ないし、研究室を作り変えちゃいました」と投稿しているのを見たからです。ゴリゴリの理系なのに、カウンターがあってどこかのカフェみたいで、そしてフリーアドレス。それを「なんかいいかも」と思ったんです。どこの大学でも、学生のためのスペースが足りなくなっているという話が出ています。大学に「YourDesk」は向いていると思います。
-YourDesk スタッフ一同より-
嬉しいお言葉ありがとうございます。人が幸せになるための行動を研究されている先生がおっしゃるなら間違いないですね!「YourDesk」「フリーアドレス」のお話を伺うだけではなく、観光科学という学問の面白さを垣間見ることもでき、とても興味深く、楽しくインタビューさせていただきました。これからも「YourDesk」が学生さんの学びの日々の一助となっていけるよう努めてまいります。
ご協力ありがとうございました。