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座席管理はなぜ重要か? フリーアドレスの普及で注目

座席管理システムは、フリーアドレスを導入したオフィスで重要な役割を果たすツールです。社員の在籍管理、業務管理、コミュニケーションに至るまで、幅広く活用することができます。今回は、フリーアドレス導入の失敗例を学びながら、座席管理システム導入の注意点などを解説します。座席管理システム導入を検討中の方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

座席管理とは?

座席管理(プレゼンス管理)はフリーアドレスを採用しているオフィスで、社員がどこにいて、何をしているかをリアルタイムで把握できるシステムです。昔はホワイトボードに「出勤・退勤」と記載していたものを現代風にデジタル化したうえで、様々な付加価値がもたらされたものと考えるとよいでしょう。
座席管理システムは、フリーアドレスで社員がどこで何をしているかを明確化することができ、社員同士の連携がスムーズになるツールです。リモートワーク中心のオフィスでも必要とされ、業務効率化への貢献も期待できます。

座席管理が必要となった背景

なぜ座席管理が必要とされるようになったのか、その背景について見ていきましょう。

デジタルワークの急速な普及

新型コロナウイルスの流行から3年、日本ではリモートワーク・デジタルワークが急速に普及しました。クラスターを防止するために3密を避け、在宅ワークや自社出勤、オンライン会議なども一般化しています。
しかし、その結果として社員の管理を企業側で行うことが困難になり、社員の顔が見えにくくもなっています。そうした問題の解決策のひとつとして、座席管理システムが広がりを見せているのは必然と言えるでしょう。

オフィスでの働き方とツールの変化

新型コロナウイルスの影響は、働き方だけではなく、働く場所にも大きな変化をもたらしました。クラスターが発生しないように机にはアクリルパネルが置かれ、人と人の距離感が保たれるようになり、ひとつの部屋に人が集まることも避けるようになっています。
こうした弊害を解決する方法として、フリーアドレスは有効でした。現代ではノートパソコンとスマホさえあれば、どこでも働けるようになったことも追い風になっています。
現代の時勢に合わせた働き方、ツールの変化が、座席管理システムの普及の要因になっているのです。

コロナ禍においてのフリーアドレス運用の変化

フリーアドレスは、一部のIT企業で取り入れられてきましたが、その運用方法はコロナ禍以降に変化しています。フリーアドレスでは自由に席を選べるがゆえに、席移動によりコロナウイルスの感染リスクが上昇することも考慮しなければなりません。
そのため、座席管理により、いつ、誰が、どの席で仕事しているのか把握できることは、危機管理においても意味があります。また、席が固定されている場合と比べると、社員同士のコミュニケーションが増え、円滑な業務の助けにもなるでしょう。

フリーアドレスで浮上した新たな問題点

企業の生産性向上、コミュニケーションの活性化を目指してフリーアドレスを導入したはずが、新たな問題を生じることもあります。どのような問題があるのか、フリーアドレスが失敗・廃止につながる理由を見ていきましょう。

社員の居場所がわかりにくい

フリーアドレスでは自由に席を選べるため、誰がどこにいるか把握しにくいという問題があります。来客や電話対応、郵便物の受け取りなど、本人が必要な場面では、フリーアドレスがデメリットにもなり得ます。
座席管理システム導入などの対策をせずにフリーアドレスを取り入れると、このような問題が起こりやすくなってしまうでしょう。

コミュニケーションが滞る

フリーアドレスは社員が自由に動くことで、お互いの意見交換を活発にする目的もあります。しかし、フリーアドレスで社員同士の物理的距離が離れることで、チームとしての意識が希薄になりやすい場合もあります。
せっかくフリーアドレスにしても、結果としてコミュニケーションが滞り、生産性が落ちてしまっては本末転倒です。フリーアドレスといえども、ある程度座席を決まった位置にするか、チーム内でコミュニケーションが捗るような対策は必要になるでしょう。

集中力が落ちる

オフィスではなく、共用スペースや人通りの多い場所で仕事をする場合もあります。しかし、周囲の雑音が気になって仕事に集中できない人も中にはいるでしょう。
すると、結果として業務効率の低下を招くこともあり、チーム全体の士気にも影響します。仕事に集中できる環境を用意することも、フリーアドレス導入においては重要です。

メンバーが固定化されてしまう

自由に席が選べるメリットはありますが、どこで仕事を行うかは社員の判断による部分が大きいのが現状です。そのため、気の合う社員同士が近い席で作業を行い、結果として通常のオフィスと変わらないという可能性もあります。
フリーアドレスは多くの社員同士が交流し、意見を交換することが大きな目的です。しかし、メンバーが固定化してしまうと、意味が薄らいでしまいます。
フリーアドレスを導入する場合は、メンバーが固定されないように、企業側でも何らかの措置を講じる必要があるでしょう。

フリーアドレスに適していない部署だった

業種や業務内容次第では、フリーアドレスに適していない部署もあるかもしれません。

  • オフィスにデスクワーク社員が多い
  • 多くの道具を持ち歩く必要がある業務
  • 固定電話での対応が多い

こうした条件に当てはまる部署の場合、フリーアドレスは手間が増えて作業効率が落ちる可能性があります。せっかくフリーアドレスを導入しても、フリーアドレス自体が不向きな部署では、意義が薄らいでしまうこともありえるでしょう。
どういう目的で導入するのか、導入によりどのような問題が起こるかなど、事前に検討しておくべきです。

座席管理システムでフリーアドレスの問題点を解決

フリーアドレスで生じる問題を解決するには、座席管理システムが有効です。座席管理システムにもさまざまな種類がありますが、どのようなツールでも社員の現在地、作業内容をリアルタイムで確認できるものが多いでしょう。
座席管理システムを用いることで、フリーアドレスで生じやすい社員のコミュニケーション不足、メンバーの固定化、集中力の低下といった問題の対策になります。
まず、社員同士の所在がわかるので、コミュニケーションを取りやすくなるでしょう。
次に、座席管理システムを使うと、メンバーが固定化していないかをチェックできるため、必要であればアドバイスや注意も行うことができ、人員管理の面でもメリットになります。
そして、座席管理システムの導入により、従業員に対して管理職の目が届きやすくなるため、彼らのやる気を引き出してあげることもできるでしょう。
このように、座席管理システムで解決できる課題はたくさんあるので、フリーアドレスとセットで導入するのがおすすめです。

座席管理システムに期待できること

フリーアドレスの問題点を解決するにあたって、座席管理システムでできることを具体的に見ていきましょう。

マネジメントがやりやすくなる

座席管理システムを使用すれば、社員がどの席に座ったか登録・公開することもでき、現在どこにいるのかも把握しやすくなります。管理職の立場からすれば、同じ部署の部下やチームメンバーとのコミュニケーションを取りやすく、マネジメントがやりやすくなります。
必要に応じて社内のチャットやメールなども活用すれば、よりマネジメントしやすくなるでしょう。

新しいものへの拒否感の軽減

新しいものへの拒否感は、どんな社員にも少なからずあるでしょう。こうした拒否感を軽減するには、管理職が率先して座席管理システムを活用することが大事です。
フリーアドレスを導入すると、当初のうちは、社員より戸惑いや拒否感が出てくる可能性もあります。しかし、座席管理システムを利用することで効率的に業務が進行できることがわかれば、こうした拒否感も軽減されていきます。
導入後はフリーアドレスと座席管理システムの研修を行い、多くの社員に理解を求める施策も必要でしょう。

帰属意識の醸成

フリーアドレスの場合、固定席で働くより企業への帰属意識が育ちにくく、チームへの貢献も目に見えにくいというデメリットが挙げられることもあります。そこで活用したいのが、グループアドレス制です。
グループアドレス制では、部署やチーム単位で席を選択することができます。定期的に席を入れ替えたり、他のグループと場所を変えたりすることで、新しい気持ちで仕事に取り組むことができるでしょう。
少人数のグループ単位で動くことで、社員それぞれの貢献度が見えやすく、帰属意識の醸成にも役立つでしょう。

セキュリティリスクの回避

座席管理システムの活用には、紙媒体の電子化が不可欠です。そのため、紙媒体のやりとりで起こりえた紛失や盗難、情報漏洩の回避が期待できます。また、紙の資料を直接手渡したり、郵送したりする手間が省けるうえ、セキュリティリスクの回避効果も高まります。
そのような観点からも、フリーアドレスの実施において、座席管理システムの導入は優先すべき施策と言えるでしょう。

座席管理システム導入のポイント・注意点

座席管理システムを導入するにあたって、どのようなポイントと注意点を意識すべきなのか解説します。

導入目的や運用ルールの明確化

まずは、何のためにフリーアドレスを導入するのかを明確にしたうえで、座席管理システムの運用ルールを設定しましょう。単にフリーアドレス制を導入するだけでは、思った通りの結果には繋がりません。
フリーアドレスの運用は、座席管理システムがあってこそ、有効性を発揮するものです。社員全員に不公平感が出ないよう、座席管理システムの運用ルールを定め、フリーアドレスがスムーズに浸透するように努めましょう。

現状の社内コミュニケーションの把握

フリーアドレスを取り入れると社員の顔が見えにくくなることから、コミュニケーションによる現状の把握はより重要になります。そのためにも、座席管理システムの導入は必須です。導入前・導入後に社員へヒアリングを行い、コミュニケーションの状況を適宜確認し、フィードバックを行い、運用方法を調整していくことが大切です。

オフィス環境整備などの事前準備

フリーアドレスで社員のパフォーマンスを高めるには、働く環境の整備が必要です。フリーアドレスを取り入れることで、デスクの数を減らし、省スペースで業務にあたることができます。しかし、社員一人ひとりにデスクがないということは、仕事に必要な備品などを収納するスペースが別途必要になるということです。フリーアドレス導入のタイミングで、社員それぞれの書類の保管法を見直し、ロッカーの中身などを整頓するようにしましょう。
また、社内のデジタル化を進め、入退室管理システムの導入なども検討するのがおすすめです。

部分導入や試験導入で経過観察

全社一気にフリーアドレスへ移行し、早急に座席管理システムを導入するのはリスクが高いかもしれません。まずは小さな部署から試験導入を開始し、経過を見てから本格導入するのがふさわしい方法です。
全部を一度に切り替えてしまうと、元に戻すことが困難になるので、慎重に対応していきましょう。

導入後の検証・改善

フリーアドレスと座席管理システムを導入したのちも、そのまま運用していればよいわけではありません。定期的に運用ルールを周知し、ルールが遵守されているかの確認が必要です。
実際に社員にチェックを行い、フィードバックを得て、問題があれば適宜対応していきましょう。運用で不具合が起こっていないかどうか、企業側も管理を行うことが大切です。

運用の仕方を想定しながら座席管理システムを選ぼう

フリーアドレスと座席管理システムの導入について、運用の仕方を中心に紹介しました。座席管理システムはフリーアドレス導入とセットで行うのが一般的ですが、導入のポイントを知っておけば、活用がさらにスムーズになるでしょう。
何のために導入するのか、導入後の課題は何かを想定したうえで、座席管理システムを選ぶことが重要になります。デジタル化が進むオフィスの現状に適合しながら、座席管理システムの効率的な運用を目指してください。

まとめ

座席管理とは?

座席管理(プレゼンス管理)は、フリーアドレスを採用しているオフィスにおいて社員の動向ををリアルタイムで把握できるシステム

座席管理が必要となった背景

  • デジタルワークの急速な普及
  • オフィスでの働き方とツールの変化
  • コロナ禍においてのフリーアドレス運用の変化

フリーアドレスで浮上した新たな問題点

  • 社員の居場所がわかりにくい
  • 集中力が落ちる
  • メンバーが固定化されてしまう
  • フリーアドレスに適していない部署だった

座席管理システムでフリーアドレスの問題点を解決

座席管理システムを用いることで、フリーアドレスで生じやすい社員のコミュニケーション不足・メンバーの固定化・集中力の低下といった問題の対策になる

座席管理システムに期待できること

  • マネジメントがやりやすくなる
  • 新しいものへの拒否感の軽減
  • 帰属意識の醸成
  • セキュリティリスクの回避

座席管理システム導入のポイント・注意点

  • 導入目的や運用ルールの明確化
  • 現状の社内コミュニケーションの把握
  • オフィス環境整備などの事前準備
  • 部分導入や試験導入で経過観察
  • 導入後の検証・改善