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フリーアドレスの不満や面倒を在席管理システムで改善する方法とは?

実はフリーアドレスは、日本では1980年代に注目を集めました。ですが、当時は解決すべき課題が多く、また現代ほど切迫したニーズが少なかったこともあり、導入はそれほど進みませんでした。ここでは、現代のフリーアドレスが過去とはどう変わっているのか、解決すべき課題は何かを取り上げます。そして、フリーアドレスの課題を解決する「在席管理システム」について解説します。

フリーアドレスは在席管理システムでの運用がおすすめ

フリーアドレスにおける「在席管理システム」とは、社員が今、どの席に座り、何をしているかをリアルタイムで把握できるシステムです。業務を円滑に、効率的に進めるための社員マネジメントは企業経営に必須です。
従来のオフィスであれば、社員の席は常に固定されており、上司は部下の仕事ぶりを自分の目で確認できました。しかし、フリーアドレスでは社員は座る席を自由に選ぶことができ、毎日、座る席が変わります。上司が常に自分の目で部下の仕事の状況を確認することは難しくなりました。実際、不可能と言ってよいでしょう。
在席管理システムを導入することで、社員の所在を把握し、業務状況を可視化することには大きな意味があります。在席管理システムはフリーアドレスで困難になった業務マネジメントのための解決策です。

進化するフリーアドレス

日本では1980年代にも一度フリーアドレスが話題となりました。現代のフリーアドレスと1980年代のフリーアドレス、どのような進化があったのか見てみましょう。

IT技術の進歩

1980年代と現在のフリーアドレスの大きな違いは、ICT(情報通信技術)の進歩によってノートパソコンなどを使えば、いつでも、誰とでもコミュニケーションが取れるようになったことです。1980年代のオフィスには携帯電話はなく、固定電話が設置され、パソコンも持ち運べるサイズではありませんでした。
現在では簡単に持ち運べるノートパソコン、さらにはタブレットやスマートフォンがあり、オンラインで会議も可能です。こうしたICTの進歩のおかげで、フリーアドレス導入の障壁が1980年代からは考えられないほど低くなりました。

フリーアドレスへのニーズの変化

かつてのフリーアドレスは、社員のニーズよりも企業側のニーズが優先され、必ずしも働きやすさを意識したものではありませんでした。1980年代のフリーアドレスは、オフィスコストの削減が優先され、省スペース化のためのデスク共有化が主な取り組みでした。
現在のフリーアドレスは、省スペース化やコスト削減も重要な目的ではありますが、それ以上に社員の新しい働き方のサポート、コミュニケーションの活性化、モチベーションアップなどが大きな目的になっています。
フリーアドレスに対する認識は、大きく変化したのです。

社員のライフスタイル・意識の変化

ICT技術だけではなく、一人ひとりの生活スタイルも多様化し、仕事に対する意識も変化しています。さらに時代背景の変化もあり、オフィスに出社し、固定席で仕事をするのではなく、自宅やカフェなどで仕事をすることへの抵抗感は小さくなっています。
今後もこうした状況は続いていくことが予想され、フリーアドレスを導入する企業は増えていくと考えられます。

フリーアドレスとABWの違い

フリーアドレスとABW(Activity Based Working)は、同じものと思われがちですが、大きな違いがあります。フリーアドレスはあくまでオフィス内での取り組みであるのに対し、ABWでは、仕事をする場所はオフィスに限りません。
ABWは自宅はもちろん、カフェやコワーキングスペース、集中できるなら車の中も仕事場になります。フリーアドレスはあくまでもオフィス内での業務の効率化、モチベーションアップなどを目指すものです。

フリーアドレスで社員が席を選ぶ決め手

そもそもフリーアドレスでは、社員はどのような観点で席を選ぶのでしょうか。社員が席を選ぶときの理由を紹介します。

周囲の音は騒がしくないか

仕事に集中しやすい環境は人によって異なりますが、騒がしく感じる環境では集中しにくいと感じる人がほとんどです。一方、適度に音が聞こえるほうが集中できる人もおり、周囲の音は席を選ぶ決め手になっています。

周囲の視線が気にならないか

自分の仕事が丸見えの状態では、視線が気になって仕事がしにくい人もいます。チームメンバーとコミュニケーションを取る場合はオープンな空間の方がおすすめですが、それが集中できる環境になるとは限りません。
一方、視線がある方が緊張感を保つことができるからと、適度に人の視線が入る環境を選ぶ人もいます。

仕事しやすい位置か

仕事には1人で行う作業や打ち合わせ、会議、電話連絡などさまざまな業務があり、人によってメインで行う業務は違うはずです。業務の内容によって、仕事がしやすい場所も変わり、多くの人は仕事のしやすさで席を選びます。

周囲の社員の位置

仕事は1人で行う業務だけでなく、同僚と連携して行う業務もあります。そうした業務のしやすさを優先して、同じチームのメンバーと近い席を選ぶ人もいます。また上司に報告したり、相談する機会が多い人は上司に近い席を選びます。
もちろん、仲の良い社員同士で近い席を選ぶこともあり、だれが、どこに座っているかをポイントに席を選ぶケースもあります。

フリーアドレスへの社員の不満や面倒

フリーアドレスで社員に生じやすい不満や面倒、問題点などを見てみましょう。

座りたい席が埋まっている

どの席にも自由に座わることができるフリーアドレスですが、導入後しばらくすると、徐々にそれぞれお気に入りの席、好きな席ができてきます。ですが「今日は集中したいから、あの席」と思っていても、先に別の人が使用しているケースがあります。
自分の座りたい席に必ずしも座れないことが、ストレスやイライラにつながり、仕事に集中できないケースもあります。

毎日どこに座るか悩む

毎日出社するたびに席を決めなければならず、席選びに悩むことが面倒に感じる人もいます。従来のオフィスであれば固定席なので、そのような悩みは無縁、出社し、席につけば、すぐに仕事を始めることができました。
フリーアドレスでは、毎朝の席選びを負担に思う人がいることにも配慮が必要です。

収納スペースが少ない

従来のデスクは個人の収納スペースを兼ねていました。フリーアドレスではそうしたスペースはなくなります。ほとんどの場合、新たに収納用の個人ロッカーが設けられますが、仕事道具や書類が多い業種などの場合は、不満に感じる人が多くなるかもしれません。

フリーアドレスへの不満や面倒を改善する方法

社員の感じる不満や面倒を改善する方法を解説していきます。

在席管理システムの導入

在席管理システムは、誰がどこに座っているかをひと目で把握できるだけでなく、3カ月先までの座席予約、ランダムに席を抽選する機能などを備えています。毎回の席選びを負担に感じる人、特定の席を使いたい人の要望に寄り添った機能を持っているといえるでしょう。
社員の勤務状況を確認することにも利用できます。

持ち運び式の収納ボックスを用意する

収納スペースの課題は、フリーアドレスに限らず、オフィスではよくある問題です。フリーアドレスでは、社員が仕事に必要な道具や書類を持ち歩くことができる収納ボックスを用意します。また共有で使う道具をまとめた移動式ワゴンなども、業務内容によっては効率的です。

部署・チーム単位でフリーアドレスを進める

フリーアドレスでは、チームメンバーや上司とのコミュニケーションが課題になることがありますが、特にチームでの業務の重要性が高い場合は、全社でのフリーアドレス導入ではなく、部署やチーム単位でのフリーアドレス導入を検討するとよいでしょう。
あるいは、部署やチーム単位で大まかに位置を指定する方法もあります。

フリーアドレスにおける在席管理システム導入のメリット

在籍管理システム導入にはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

コミュニケーションが取りやすくなる

在席管理システムを使うと、誰がどこに座っているか、今、どのような作業をしているのかがひと目で確認できるため、コミュニケーションを取る際もスムーズになります。フリーアドレスでは、コミュニケーションを取りたい相手が近くに座っていない場合は、どこにいるかを探し出さなければなりません。また、今、何の作業をしているかが把握しづらいため、話しかけるにはタイミングが良くないこともありえます。
その点、在席管理システムならステータスを確認できるので、「今なら相談できる」「会議中だからまた後にしよう」と判断しやすくなります。

社員の居場所を可視化できる

前述の通り、在席管理システムでは社員の居場所とステータスが把握できるため、報告・連絡・相談などが行いやすくなります。社員の居場所が可視化できる点は、在席管理システム導入の最大のメリットです。

孤独感を緩和し、安心感に生み出す

フリーアドレスでは一人ひとりが好きな席で仕事をするため、チームであってもコミュニケーションが不足してしまうケースがあります。そのため、孤独感や不安感を抱いてしまう社員が出てくる可能性があります。
在席管理システムで社員の居場所やステータスを確認できれば、そうした心理的な不安や孤独感を緩和する効果が期待できます。

フリーアドレス導入と同時に在席管理システムを

フリーアドレスが時代とともに再び注目を集めるようになったのは、ICT技術が進んだからこそです。さらに時代背景によって新しい働き方が求められ、社員の意識も変化しています。
しかし、フリーアドレスは万能ではなく、解決すべき課題もあります。そして強力な解決策となるのが、在席管理システムです。フリーアドレス導入後に想定されるトラブルや問題を踏まえると、在席管理システムの導入は必須といえます。

まとめ

フリーアドレスは在席管理システムでの運用がおすすめ

「在席管理システム」とは、社員が今、どの席に座り何をしているかをリアルタイムで把握できるシステムで、業務を円滑・効率的に進めるために役立つ

進化するフリーアドレス

日本では1980年代にもフリーアドレスが注目されたが、現代では様々な進歩により状況が大きく変化している

  • IT技術の進歩
  • フリーアドレスへのニーズの変化
  • 社員のライフスタイル・意識の変化
  • フリーアドレスに加えABWという働き方もできるようになった

フリーアドレスで社員が席を選ぶ決め手

  • 周囲の音は騒がしくないか
  • 周囲の視線が気にならないか
  • 仕事しやすい位置か
  • 周囲の社員の位置

フリーアドレスへの社員の不満や面倒

  • 座りたい席が埋まっている
  • 毎日どこに座るか悩む
  • 収納スペースが少ない

フリーアドレスへの不満や面倒を改善する方法

  • 在席管理システムの導入
  • 持ち運び式の収納ボックスを用意する
  • 部署・チーム単位でフリーアドレスを進める

フリーアドレスにおける在席管理システム導入のメリット

  • コミュニケーションが取りやすくなる
  • 社員の居場所を可視化できる
  • 孤独感を緩和し、安心感に生み出す