コラム

インタビュー

専門家に聞く!フリーアドレスを成功させるペーパーレス化のポイント(後編)

荒井恵さん

フリーアドレスを成功させるポイントのひとつであるペーパーレス化。弊社では、コロナ禍でリモートワークが推進される以前から、ペーパーレス化を実現する複合機連携ソリューションを販売し、ご好評をいただいてきました。後編ではペーパーレス化を進めるにあたっての課題を解決する方法や最適なツールについて、前編と同様、SIOS Apps Service Lineの担当者が解説していきます。

社名
サイオステクノロジー株式会社
お話を伺った方
荒井恵さん
SIOS Apps Service Line
URL
https://sios.jp/

まず大切なのは意識改革

日本の企業には紙文化が深く根付いているので、まずは意識改革が重要です。どうしても扱い慣れている紙がいいとなりがちだからです。いろいろな社員の方がいますので、「それぞれの業務の手間がこんなに削減できる」「ここまで時短ができる」など、電子化することでその人が受けるベネフィットを知ってもらうようにしましょう。全社的にペーパーレス化を進めるのであれば、個々人が前向きに取り組んでいけるよう、意識改革することが有効な第一歩になると思います。
またペーパーレス化するにあたって、各社・各部署でルールを決めることになると思います。最初からカチガチのルールを決めてしまうと、取り組むことが難しくなってしまうので、まずは押さえなくてはいけない簡単なルールから始めることをお勧めします。

法令に対しては電子帳簿保存法など、情報化社会に対応した法律が施行され、ペーパーレス化できるようにどんどん変わってきています。改正もあり、どうすべきか苦慮する場合は、「まずは法令には関係のない部分から、少しずつ電子化できるものは電子化する習慣を身につけましょう」とアドバイスさせていただいています。できるところからミニマムスタートしていくことが、息切れせずに取り組める秘訣だと思います。

ペーパーレス化のための仕分けのコツ

ペーパーレス化しようという時に、3つの観点で書類を仕分けすることをご提案しています。
1つは「ただ取っておかなくてはいけないもの」、法令で何年間は保管しておかなくてはいけないものなどは、あまり見ませんね。なので、取っておくだけ。取っておくものです。それから2つ目が「たまに見るもの」。そして3つ目が「よく見るもの」です。この3つに分け、そのうちの「よく見るもの」から電子化することをご提案することが多いです。

なぜ、この3つの分け方をするかというと、それぞれに保存方法を変える必要があるからです。「よく見るもの」に関しては、電子化しても自分でどこに保存したか、どこに保存してあるのか分かっています。
「たまに見るもの」は電子化したら、どこに置いてあるか、分からなくなることが多々あります。その時のために、全文検索が可能な、テキスト付きPDFのような形で保存しておくとよいでしょう。

そして「ただ取っておかなければならないもの」は、普段ほとんど見ることはないので、単にPDFにしてしまうか、法令による保管期間が必要なら、それだけはそのまま紙で取っておいてもいいわけです。

スキャン作業の効率化を目指して

このように3つに分けて電子化することになった時、相当数の書類をスキャンして電子化しなくてはいけません。このスキャン業務がけっこう面倒くさくて、電子化がなかなか進まないという声も聞きます。複合機本体の機能でもスキャンして電子化自体はできますが、弊社のアプリケーション「Quickスキャン」「Speedoc」を使うと、スキャンする作業の効率化や手間の削減が可能になり、ペーパーレス化の推進に一役も二役も買うことになります。

一般の標準的なスキャナーだと図面なども含めて文書を読み取った後、スキャン用のフォルダーに入れて、数字が羅列されたファイル名がついて保存されると思います。整理整頓して保存するためには、その数字から中身に合わせてファイル名を変えて、仕分け用のフォルダーに移していく作業をするわけです(先にファイルを移動させる人もいます)が、この作業も意外と手間がかかります。
忙しいとファイル名を変えないまま、ただフォルダーに溜めていくことになりがちです。1つのファイルにどんどん放り投げていると、見たい時に見つけられないということになってしまい、結局は電子のゴミになってしまいます。

アプリによって保存も検索・閲覧も高機能化

そこで活躍するのが、QuickスキャンやSpeedocです。スキャンしたと同時にタッチパネル上で、どのフォルダーに保存するかを指示できるうえ、ファイル名もワンタッチで分かりやすいファイル名に変更することができます。つまり、スキャンしたタイミングで整理整頓して、保存できるということです。
実際に、スキャンした後にファイルを移動させる、名前を付け替えるという作業にどのくらいの時間がかかるか、弊社で計測してみました。すると1件につき、だいたい1分くらいかかりました。それを、Quickスキャンを使って行うと1件15秒くらいでできたのです。1日数十件もこの作業をするとなると、Quickスキャン、Speedocによる削減効果はかなりのものになります。

さらに名前を付け替える際、先に名前、その後に日付けにする、あるいは日付けの後に名前にするなど、ある程度前もって設定登録することができるので、使用している管理者の方からは、ファイル名を統一することができたと喜ばれました。文書を保管して共有するなら、ファイル名が統一されていたほうが探しやすいし、共有もしやすく、利便性が増します。

また、オプションにはなってしまうのですが、QuickスキャンとSpeedocでは、PDF以外でもさまざまなファイル形式に変換することが可能です。テキスト付きPDF形式で保存しておくと、原稿の中のキーワードで検索することができます。通常のPDFは画像として認識されているので、ファイル名でしか検索することができませんが、テキスト付きPDF形式のようにキーワードで検索できれば、探すスピードは格段にアップします。
さらに、用紙の向きが縦と横の原稿が混在している書類のスキャンも、天地識別という機能によって文字列の方向を判別し、自動的に統一した見やすい向きで保存します。

リモートワークが求めたファクスのペーパーレス化

自社では解決できない課題として「ファクスで書類が送られてくるのでペーパーレス化が進まない」というものがありました。リモートワークをしていたのに、そのために出社することになったという話もありました。この課題を解決するには、ファクスで送られてきた書類がそのまま電子化され、どこにいても見られるようになればいいわけです。

それを可能にするアプリケーションが「Easyファクス」という製品です。受信した書類を電子化するだけであれば、複合機の標準機能でもできるのですが、Easyファクスは電子化した後に、より探しやすい状態で保存できることが特徴です。
受信された書類を電子化すると同時に、日付けごと、あるいは取引先様ごとに自動で振り分けをして保存する機能があります。ファイル名も日付けにするのか、アドレス帳に登録がある取引先様に名前を変換するのか、あらかじめルール設定をしておくことによって、後から探しやすい状態で保存がすることができます。

お客様の中には、これまでのようにファクスが紙で出力されたり、受信のサインが表示されなければ、ファクスを受診したことに気づけないのではないかという不安を口にする方がいました。「Easyファクス」はアプリケーションの受信フォルダーに入った時に、ポップアップで受信通知を出す設定にできるので、そういった心配は無用です。(※ただし、クラウドストレージに転送した場合は、Easyファクスの機能として受信通知することはできません。)

注文書がファクスで来るために、会社に行かなくてはいけないというのも、クラウドストレージなどインターネット環境につながっていれば転送する設定もできるので、ファクスを受け取るために出社する必要もなくなります。
このアプリケーションを開発したのは、新型コロナウイルス感染症が発生する前のことでした。営業担当が出先でお客様から「ファクスを送っておいたから、確認しておいて」という電話を受け、すぐに帰社することができずに困ることがあると話していたことがきっかけです。

これまでは会社に帰らないまでも、事務担当に電話をかけてファクスの確認を頼むなどしており、営業担当も事務担当もそれだけで仕事の手を止めることになっていました。そんな状況が意外と多かったので、それを改善するシステム開発に取り組んだのです。クラウドにあげておけば、営業担当はどこにいてもスマホで確認でき、業務効率は向上します。
このように電子化した後のデータや情報が見やすい形で保存されたり、閲覧したい時にいつでも、どこにいても閲覧できるのであれば、ペーパーレス化は成功といってよいのではないかと思います。

まとめ

後編:ペーパーレス化を進めるにあたっての課題を解決する方法や最適なツール

まず大切なのは意識改革

ペーパーレス化のベネフィットを周知し、各社・各部署でルールを決める
法令に関係のない部分から電子化を始め、長期スパンで進める

ペーパーレス化のための仕分けのコツ

「ただ取っておかなくてはいけないもの」「たまに見るもの」「よく見るもの」の3つで書類を分類し、それぞれに合った保存方法を実行する

スキャン作業の効率化を目指して/アプリによって保存も検索・閲覧も高機能化

ペーパーレス化をする際に必要なスキャン・分類作業は、「Quickスキャン」「Speedoc」のようなアプリケーションを使用すると効率的

リモートワークが求めたファクスのペーパーレス化

ファクスで書類が送られてくるのであれば、受信した文書が自動的にデジタル化されるように設定を。「Easyファクス」はさらに分類して保存するので使いやすい電子化した文書を見やすい形で保存でき、時と場所を選ばず閲覧できるようになればペーパーレス化は成功

専門家に聞く!フリーアドレスのオフィス設計のポイント(前編)はこちら

-Office Darts スタッフ一同より-
皆さん、「専門家に聞く!フリーアドレスを成功させるペーパーレス化のポイント」はいかがでしたでしょうか?2022年1月に電子帳簿保存法が改正されると、多くの要件が緩和され、今まで以上に電子化やペーパーレス化を進めやすくなります。ペーパーレス化を導入する前に、まずは御社の課題を洗い出してみてはいかがでしょうか。

※感染症予防の一環で、インタビュー時はマスクを着用し、ソーシャルディスタンスを確保しております。