ホテリングを導入する前にルールを策定しておくと、スムーズに導入・運用できます。本記事では、ホテリングの導入をお考えの方に、ホテリングの目的、導入方法を解説。また、ホテリングのメリット・デメリット、どのような運用ルールが必要なのかを説明していきます。
ホテリングの目的とは?
ホテリングの主な目的は、「オフィススペースの有効活用」「コスト削減」です。
ホテリングでは、座席数を社員の数よりも少なく設定します。また、効率よく席を予約できることから、空いたスペースを他のことに利用でき、オフィスの広さも省スペースで済むため、コスト削減につながるのです。
ホテリングの導入方法とは?
ホテリングは、どのように導入すればよいのでしょうか。その手順を紹介しましょう。
導入手順①目的を明確にする
ホテリングを導入するときにまずやっておくことが、目的の明確化です。「なぜホテリングが必要なのか」「ホテリングをすることでどういった効果・メリットがあるのか」、その目的を明確にし、社員に伝えて理解してもらいましょう。
導入手順②ホテリングシステムを選ぶ
今や、ホテリングシステムはさまざまな企業から提供されています。特徴や機能が異なるので、自社に合ったホテリングシステムを選ぶようにしてください。選ぶ際のポイントは、
- ・スマートフォンで予約できる
- ・どんな社員でも簡単に操作できる
- ・会社側が管理しやすい
- ・名前で検索し、誰がどこにいるのかすぐにわかる
- ・座席表の閲覧機能がある
- ・勤怠管理ができる
- ・席の抽選制度がある
- ・座席稼働率がわかる
などです。機能だけでなく、操作性や価格なども比較して検討しましょう。
導入手順③ホテリングの対象者を決める
ホテリングは、職種によって向き不向きがあります。そのため、ホテリングに適した職種を対象とするよう検討します。
なお、ホテリングに向かない職種は、研究職などの長時間同じ席で業務を進める仕事や、クリエイターなどのデスクトップで作業する仕事です。
導入手順④運用形態を決める
ホテリングには2つの種類があります。1つは「ホテリング×フリーアドレス」、もう1つは「ホテリング×ハイブリッドワーク」です。社員が働きやすいタイプを選んで運用するとよいでしょう。
導入手順⑤オフィス環境の整備
ホテリングをスムーズに導入・運用できるよう、オフィスレイアウトを整える、ノートパソコンやモバイル機器などの準備、IT環境の整備を行います。場合によっては、スペースの縮小、移転も検討するとよいでしょう。
ホテリングを取り入れるメリット
ホテリングを導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。見ていきましょう。
メリット①オフィスの省スペース化
ホテリングでは、座席の稼働率を明確に把握できます。そのため、従来型のオフィススタイルよりも小さい面積で済むのがメリットです。
また、空いたスペースをほかのことに利用できるのも良い点といえるでしょう。
メリット②コロナなどの感染症対策
ホテリングでは、いつ、だれが、どの席に座っていたのかを把握できます。そうすると、消毒完了した席の予約ができるため、衛生管理がしやすくなるのもメリットです。また、もしも感染症が発生した場合、濃厚接触者の抽出にもホテリングは役立ちます。
そのほか、ホテリングのルールのひとつとして、1日に出社できる人数を決めておけば、ソーシャルディスタンスを保つことができ、それが感染症対策にもなります。
メリット③勤怠管理の効率アップ
ホテリングを導入すると、特定の社員が「出社」なのか「在宅勤務」なのか、「外出」なのかがわかりやすくなります。また、勤怠管理としても利用できるため便利です。
ホテリングを取り入れるデメリット
ホテリングにはメリットがある一方、デメリットもあります。導入前に、デメリットも知っておきましょう。
デメリット①ITリテラシーが必要
ホテリングを運用するには、ホテリングシステムやクラウドサービスなどのITツールを活用します。そのため、ネットワークやセキュリティなどのITにまつわる理解力や操作能力「ITリテラシー」が必要です。ITリテラシーがある程度なければ、ホテリングはうまく運用できないでしょう。
デメリット②席が固定化してしまう
ホテリングでよくあがる課題に「席の固定化」があります。いつも同じ人が同じ席を予約すると、席が固定されてしまい、ホテリングを導入した意味がなくなってしまいます。
デメリット③セキュリティ対策が必要
ホテリングは、フリーアドレスやハイブリッドワークと組み合わせて運用することが一般的です。これらのワークスタイルでは、ノートパソコンで仕事をすることがほとんどでしょう。ノートパソコンでの業務は、紛失や盗難のリスクが高くなります。これらのリスクを防ぐためには、社員のセキュリティ意識を高くし、セキュリティ対策万全にする必要があるのです。
ホテリングの問題の解決にはルールの整備が重要!
ホテリングの運用を開始してからトラブルや問題が発生しないためにも、ルールを設けておく必要があります。次のようなルールがあるとトラブルや問題の発生を防げるでしょう。
ルール①前日と同じ席は使わない
席の固定化を防ぐために、「前日と同じ席は使わない」というルールを設けましょう。前日と同じ席を使わないようにするには、
- ・席のランダム抽選機能があるホテリングシステムを選ぶ
- ・タイプ別の座席をつくる
- ・席を使い終わったら片付ける
などが有効です。
ルール②席の予約期間は1ヶ月先まで
席を毎日予約するのが面倒に感じる社員もいるかもしれません。それを解消するために、「席の予約ができるのは1ヶ月先まで」と決めるとよいでしょう
ルール③使える席を限定する
感染対策の一貫として、企業側が予約できる席を限定するとよいでしょう。たとえば1人分ずつ席を空けるようにすれば、ソーシャルディスタンスを保てて、ある程度密になるのを避けることができます。
ルール④1日に出社できる最大人数は○人まで
1日に出社できる最大人数を決めておくと、「出社したのに仕事をする席がない」といった問題を解消できます。出社状況や席の稼働率、社員数などから最適な人数を決めてください。
ルール⑤ルールを見直し、改善する
ホテリングの運用を開始してからも、問題や課題が見つかることがあります。社員に気持ちよく働いてもらうためにも、定期的にルールを見直し、改善することも大切です。
ホテリングにはルールが必要
あらかじめルールを設けることで、ホテリングをスムーズに運用できます。また、社員全員がルールを徹底することも大切です。ルールに基づいてホテリングを運用すれば、社員が快適に、効率的に仕事ができることでしょう。
まとめ
ホテリングの目的とは?
「オフィススペースの有効活用」と「コスト削減」が主な目的
ホテリングの導入方法とは?
- 1.目的を明確にする
- 2.ホテリングシステムを選ぶ
- 3.ホテリングの対象者を決める
- 4.運用形態を決める
- 5.オフィス環境の整備
ホテリングを取り入れるメリット
- ・オフィスの省スペース化
- ・コロナなどの感染症対策
- ・勤怠管理の効率アップ
ホテリングを取り入れるデメリット
- ・ITリテラシーが必要
- ・席が固定化してしまう
- ・セキュリティ対策が必要
ホテリングの問題の解決にはルールの整備が重要!
- ・前日と同じ席は使わない
- ・席の予約期間は1ヶ月先まで
- ・使える席を限定する
- ・1日に出社できる最大人数は○人まで
- ・ルールを見直し、改善する