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オフィスの縮小移転が求められる理由やメリット・デメリット、うまくいく方法を解説

オフィスを縮小して移転することを検討する企業が増えています。縮小移転が求められている理由には、どのようなことがあるでしょうか? 縮小移転のメリット・デメリットと適性面積の出し方について確認したうえで、縮小移転を成功させる方法を解説します。

オフィスの縮小移転とは

リモートワークの普及など、働き方が多様化するなか、オフィスの縮小移転を行ったり、検討したりする企業が増えています。オフィスの縮小移転とは、それまでのオフィスの規模を小さくして、別の場所に移転すること。同じビルの中で占有面積の小さな場所に移転するケースもあります。

オフィスの縮小移転が求められる理由

オフィスの縮小移転が増えている理由として、次のような理由があげられます。

さまざまな働き方が増えているから

優秀な人材を多方面から集めるためには、さまざまな働き方を受け入れる体制が必要になります。たとえば、地方在住の方や子育て中の女性が自宅やカフェなどからリモートワークするなど働き方は多様化しています。オフィスに出社する従業員が少なくなり、従業員全員分の座席を確保する必要性が薄れてきています。

オフィス以外の選択肢が増えているから

従来は企業がオフィスを構え、従業員はそこで仕事をすることが一般的でした。しかし現在では、働き方の多様化を受けて、コワーキングスペース、レンタルオフィス、レンタル会議室など、さまざまな形態で仕事スペースを提供するサービスが登場しています。企業にとって、大規模なオフィスを構えることは必ずしも必須ではなくなり、必要に応じてそうしたサービスを利用するという選択肢が生まれています。

感染症の対策として

新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、感染症対策の重要性が注目されています。対策の大前提は、1か所に大勢の人が密集しないことです。適切な距離を保ちながら仕事できるように、1つのオフィスに出社させずに、さまざまな働き方を認め、働く場所を分散させる考え方が広がっています。

オフィスの縮小移転の前に知っておきたいこと

オフィスの縮小移転を検討・実行する際には、今後、どの程度の規模が最適なのかを割り出すことが必須になります。

オフィスの適正面積とその求め方

一般的なオフィスにおいて、一人当たりの適切な面積はどの程度になるのでしょうか。
少し前までは、約10㎡(約3坪)ほどがふさわしい広さと言われていました。しかし、レイアウト効率のいいオフィスビルの増加に伴い、昨今では約8.55㎡(約2.3坪)程度が一人当たりの適切な面積とされています。
オフィスの面積は、従業員数一人当たりに必要な面積と従業員数、出社率を加味したうえで導き出すことが必要です。

オフィスの分散とは

オフィスの縮小移転では、オフィスを分散させることも考慮します。オフィスの分散とは、オフィスを1カ所に集中させるのではなく、複数のオフィスを構えて、働く場所を分散させることをいいます。複数の場所にオフィスを構えることで、多様な働き方をサポートできるメリットがあります。

オフィスの拡張移転とは

オフィスの縮小移転の逆が、オフィスの拡張移転です。現在の規模よりも大きな場所にオフィスを構えて、移転することを指します。

オフィスの縮小移転のメリット

多くの企業がオフィスの縮小移転を検討しているのは、縮小移転に多くのメリットがあるためです。具体的に見ていきましょう。

賃料の削減

最大のメリットは、オフィス賃料の削減です。面積を小さくした分だけ賃料も下がり、さらに光熱費を抑えることができ、毎月の固定費を大きく削減できます。また従業員が出社する回数が減ることで、通勤費の削減も見込めます。

多様な働き方を促進できる

オフィスの縮小移転は、従業員にオフィス以外の場所での仕事を奨励することにつながります。自宅はもちろん、カフェやコワーキングスペースなど、好きな場所で仕事をすることを認め、多様な働き方を促進することは、結果的に生産性アップにつながると期待できます。

優秀な人材の確保につながる

従来、オフィスに出社できる地域に住んでいない人や、子育て・介護を行っている方などは働ける場所が限られていました。しかし、多様な働き方を認めている企業なら、そのような人材も積極的に受け入れることができます。新たに、優秀な人材を確保できる可能性が生まれます。

オフィスの縮小移転のデメリット

一方で、オフィスの縮小移転によるデメリットも考えておく必要があります。

社内のコミュニケーションが減る

従業員が全員オフィスに出社する場合とは異なり、出社する従業員が限られると、必然的に対面でのコミュニケーションが減ってしまいます。部署内での連携や、やりとりが難しくなることが懸念されます。

社内ルールの整備が必要

出社する人と出社しない人をどのように区分けするか、出社しないとできない業務と社外からでもできる業務を分けるなど、社内の業務プロセスやルールを整理する必要があります。またオフィスのデスク数が少なくなる場合は、出社した従業員がどの席に座るかなどのルールを整える必要があります。

移転にはコストがかかる

移転縮小すればオフィスの賃料を抑えることができますが、移転自体にはコストがかかります。移転にかかる費用がどのくらいになるかを確認し、それをカバーするだけのメリットがあるかどうかを検討します。

オフィスの縮小移転がうまくいく方法・コツ

オフィスの縮小移転を成功させるためには、どんなことに気を付ければいいでしょうか。

縮小移転の目的を明確にする

ただコスト削減のためだけに、オフィスの縮小移転を行うべきではありません。出社しなければできない仕事もあり、縮小移転によって生産性や効率が低下してしまっては逆効果です。なんのために縮小移転するのか、目的を明確にすることが大切です。

縮小移転後の働き方のイメージを社内で共有する

縮小移転した場合に働き方はどのように変化するか、具体的にイメージして、社内で共有します。従業員全員で縮小移転の目的を理解・共有し、働き方がどのように変わるのかをイメージしていくといいでしょう。

無理のない移転計画を立てる

コスト削減のために縮小移転を急ぐのではなく、無理のないスケジュールで行います。移転先候補地の選定、座席レイアウトの検討、移転後の社内ルールの策定など、行うべきことは多岐にわたります。スケジュールを立てて、各段階でやるべきことを明確にして進めていきます。

将来を見据えて縮小移転を検討しよう

働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大を背景に広まっている、オフィスの縮小移転。しかしオフィスの縮小移転がふさわしいかどうかは、企業の規模や事業内容によって異なります。将来を見据えて、縮小移転が今後の成長計画と結びつくものなのか、十分に検討する必要があります。

まとめ

オフィスの縮小移転とは

それまでのオフィスの規模を小さくして、別の場所に移転すること。同じビルの中で占有面積の小さな場所に移転するケースも

オフィスの縮小移転が求められる理由

  • さまざまな働き方が増えているから
  • オフィス以外の選択肢が増えているから
  • 感染症の対策として

オフィスの縮小移転の前に知っておきたいこと

一人当たり約8.55㎡(約2.3坪)程度が適切な面積。従業員数一人当たりに必要な面積と従業員数、出社率を加味したうえでオフィスの適正面積を導き出し、場合によってはオフィスの分散や拡張移転も考える

オフィスの縮小移転のメリット

賃料の削減・多様な働き方を促進できる・優秀な人材の確保につながる

オフィスの縮小移転のデメリット

社内のコミュニケーションが減る・社内ルールの整備が必要・移転にはコストがかかる

オフィスの縮小移転がうまくいく方法・コツ

  • 縮小移転の目的を明確にする
  • 縮小移転後の働き方のイメージを社内で共有する
  • 無理のない移転計画を立てる