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ソーシャルディスタンスに配慮したオフィスレイアウトや感染予防対策とは?

新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、オフィスのあり方が大きく変化しています。これからの企業は、従業員の健康や安全を守りつつ、業務の生産性や効率性を向上させていかなければなりません。そこで今回の記事では、ソーシャルディスタンスに配慮したオフィスレイアウトや感染予防対策に関して具体例を交えながら解説します。

ソーシャルディスタンスとは

ソーシャルディスタンスとは、人と人との間に一定の距離を保ち、医薬品を使わずに感染拡大を抑制する社会的措置を指します。正しい表記は「Social Distancing(ソーシャル・ディスタンシング)」です。WHO(世界保健機関)は、物理的距離を意味する「Physical Distancing(フィジカル・ディスタンシング)を使っています。
海外の場合は約1.8m以上の距離を保つこと、日本の場合は約2m以上の距離を保つことが推奨されています。

オフィスにおけるソーシャルディスタンスとは

オフィスにおいてもソーシャルディスタンスの規定が設けられています。政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方」などを踏まえ、日本経済団体連合会がオフィスの実態に応じて、感染予防対策の基本事項を取りまとめた「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」です。
具体的な対策としては、オフィスにおける感染予防対策の体制整備や健康確保、通勤時・勤務時の配慮、従業員に対する感染防止策の啓発、感染者が確認された場合の対応などがあげられています。

ソーシャルディスタンスに配慮したオフィスレイアウトとは

オフィスでソーシャルディスタンスを実践する場合、距離の確保・座席構成・飛沫の遮断が重視するポイントです。ここでは、ソーシャルディスタンスに配慮したオフィスレイアウトを主なスペースごとに解説します。

ワークスペース

ワークスペースの場合、ソーシャルディスタンスの基本となる距離の確保・座席構成・飛沫の遮断に配慮したオフィスレイアウトが必要です。距離の確保は、机をひとつ置きに座ることで約2.4mの間隔をあけることができます。座席構成は、横と対面に座ることを避けます。飛沫の遮断は、デスク中央や机と机の間などに、人員配置を考慮して、仕切り版(70cm以上)やパーテーション(約140cm)を設置します。

ミーティングスペース

壁に囲まれた密閉空間となることが多いミーティングスペースの場合、換気を重視したレイアウトを心がけます。対角線上に座席を配置し、テーブルの中央には仕切り板を設置します。窓がある場合は風の入口と出口を作り、窓がない場合は必ずドアを開けておくようにします。サーキュレーターや扇風機を利用し、外へ空気を送り出すとなおよいでしょう。

休憩スペース

食堂・休息・喫煙場などの休憩スペースも、基本的にワークスペースのレイアウトと同じです。ただし、より三密の防止に配慮したレイアウトを行います。対面式の場合は片方の座席だけを利用し、向かい側の座席は使用禁止にします。カウンター式では座席の間に2mの距離を確保することや、隣の座席を使用禁止にします。

基本のオフィスレイアウトと感染予防の課題

オフィスは、広さや従業員数、業態や働き方などによってレイアウトが異なります。ここでは、基本的なオフィスレイアウトを例にあげ、感染予防における課題を解説します。

アイランド式

アイランド式は、複数の机を向かい合わせに配置し、ひとつの島を作るレイアウトです。島型式や対向式とも呼ばれ、日本企業の多くが採用しています。感染予防における課題は、座席同士に十分な距離が必要になるため、利用可能な机が半分以下になることです。

並列式

机を一方向に配置したレイアウトが並列式です。スクール式とも呼ばれ、座席の配置に関しては、アイランド式と同じく前後左右に十分な距離を確保する必要があり、利用可能な机が半分以下になってしまいます。

背面式

壁に向かって机を配置するレイアウトが背面式です。アイランド式や並列式と比較した場合、前後の飛沫感染を防ぐメリットが期待できます。ただし、左右に関しては、十分な距離を保つ必要があります。

フリーアドレス式

固定の座席を設けず、デスクを共用するレイアウトがフリーアドレス式です。省スペース性に優れ、オフィス効率の向上が図れるものの、複数の社員が同じ座席や備品をシェアするため、使用前後のルール徹底が大きな課題になります。

感染予防対策にふさわしいオフィスレイアウトとは

ソーシャルディスタンスの必要性から、オフィスのあり方も大きく変化しました。ここからは、新型コロナウイルス感染拡大の予防対策にふさわしいとされる具体的なオフィスレイアウトを紹介します。

机の配置に考慮する

ソーシャルディスタンスを実践する場合は、まず机の配置を考慮します。机が対面となるアイランド式は極力避け、オフィス内に机を分散させる配置や、背中合わせになる配置など、空間を最大限に活用し、社員同士の距離を2m以上保つことができるオフィスレイアウトが理想的です。

パーテーションや仕切り板を活用する

業務スペースによっては、十分なソーシャルディスタンスを保てないオフィスもあるはずです。その場合は、飛沫拡散の防止に効果的なパーテーションや仕切り板を活用します。設置は比較的簡単で、コストパフォーマンスにも優れているため、感染予防にふさわしい対策のひとつとなります。

実用性と快適性を重視する

机の配置や種類、パーテーションや仕切り板の設置以外にも、オフィスの内装やインテリア、什器の位置などを変えることにより、感染予防対策を実践できます。余裕を持ったレイアウトを心がけ、実用性と快適性を重視するオフィス作りがポイントになります。

オフィスにおける感染予防対策とは

オフィスでの感染予防対策は、レイアウト以外にもあります。従業員の健康を守るために実践すべき基本的な感染予防対策を紹介します。

従業員同士のソーシャルディスタンス

従業員同士がコミュニケーションを行うときは、半径2m以上の距離を置くことが理想的です。またマスク・手洗い・うがい・アルコール消毒を徹底します。

十分な換気

十分な換気は、感染予防対策における重要なポイントです。平時のオフィスでは2時間に1回の換気がよいとされていますが、感染症の流行を考慮した場合は、1時間に2回の換気を行うようにします。

ルールの厳守

感染予防対策としてルールを設けるだけでなく、ルールを厳守することが重要です。机や備品の随時消毒、使用不可の机を決める、換気の時間指定、マスク・手洗い・うがいなどを徹底します。

アフターコロナに順応したオフィスレイアウトを

アフターコロナの時代となり、今後のオフィスは、ソーシャルディスタンスを考慮した安全性と機能性を重視するレイアウトが求められます。またオフィスで働く従業員の効率性や快適性も視野に入れ、環境整備を進めなければなりません。政府が定めた「新しい生活様式」を取り入れ、従業員の健康を守るために感染予防対策の基本となる距離の確保、飛沫の遮断、空気の循環を意識したオフィスレイアウトを心がけましょう。

まとめ

ソーシャルディスタンスとは

人と人との間に一定の距離を保ち、医薬品を使わずに感染拡大を抑制する社会的措置。日本の場合は約2m以上の距離を保つことが推奨されている

オフィスにおけるソーシャルディスタンスとは

政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方」を踏まえ、日本経済団体連合会が制定した「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」があり、オフィスにおいてもソーシャルディスタンスの規定がある

ソーシャルディスタンスに配慮したオフィスレイアウトとは

換気・距離を確保できる座席配置・飛沫を防ぐ仕切りなどを考慮する

基本のオフィスレイアウトと感染予防の課題

アイランド式:複数の机を向かい合わせに配置し、ひとつの島を作るレイアウト。座席同士に十分な距離が必要になる

並列式:机を一方向に配置したレイアウト。前後左右に十分な距離を確保する必要がある

背面式:壁に向かって机を配置するレイアウト。前後の飛沫感染は防げるが、左右の距離の確保が必要

フリーアドレス式:固定の座席を設けず、デスクを共用するレイアウト。複数の社員が同じ座席や備品をシェアするため、使用前後のルール徹底が課題

感染予防対策にふさわしいオフィスレイアウトとは

机の配置に考慮する、パーテーションや仕切り板を活用する、実用性と快適性を重視する

オフィスにおける感染予防対策とは

  • 従業員同士のソーシャルディスタンス
  • 十分な換気
  • ルールの厳守