なぜ、いざという時にペンが見つからないのか?
「あれ、ボールペンどこだっけ?」
カバンの中をガサガサと探る数秒間。これは単なる時間のロスではなく、集中力を削ぐノイズです。
フリーアドレスにおいて、カバンは「移動するデスク」そのものです。デスクが散らかっている人が仕事ができないのと同様、カバンの乱れは思考の乱れに繋がります。
本稿では、製造業の現場で徹底されている「5S」の考え方を個人の持ち物に応用し、必要なツールを0.5秒で取り出すためのシステム作りを解説します。
1. ビジネスの基本「5S」を再定義する
「5S」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。製造業やサービス業の現場で、職場環境を維持・改善するためのスローガンとして使われる5つの要素です。
- 整理:要るものと要らないものを分けること。
- 整頓:要るものを、すぐに取り出せる状態にすること。
- 清掃:掃除をして、点検すること。
- 清潔:上記3つ(3S)を維持すること。
- 躾(しつけ):ルールを守る習慣をつけること。
カバンの中身が散らかっている人は、この最初の2ステップ、つまり「整理」と「整頓」がごちゃ混ぜになっているケースがほとんどです。まずはこの2つを明確に区別することから始めましょう。
2.「整理」と「整頓」の決定的な違い
多くの人が「片付け」を一括りに考えがちですが、この2つは全く異なるアクションです。
■ ステップ1:整理(捨てる技術)
まずは「分ける」ことです。カバンの中身を全て出し、以下の基準で選別します。
- 使用頻度で分ける:
「毎日使うもの」と「いつか使うかもしれないもの」を分けます。 - 不要なものを捨てる:
エッセンシャル思考に基づき、使用頻度の低い「不安の種(予備の予備など)」をカバンから追い出し、ロッカーへ移動させます。これが「整理」です。
■ ステップ2:整頓(並べる技術)
必要なものだけが残った状態で、初めて「配置」を考えます。
- 定位置管理:
優秀な職人の工具箱は、どこに何があるか見なくても分かると言います。 - 住所の固定:
「スマホは右ポケット」「社員証は左ポケット」と住所を固定することで、脳の処理を介さず、脊髄反射でツールを取り出せるようになります。これが「整頓」です。
3. 業務効率を高める「モジュール化」
バラバラの文房具をカバンに放り込むのは非効率です。システム開発や建築の現場で使われる 「モジュール化(部品化)」 の発想を取り入れましょう。
■ 「機能」でパッケージにする
アイテム単体ではなく、「何をするためのセットか」という意味でポーチにまとめます。
- 「デスクワーク」セット:
自立するペンケースやバッグインバッグを活用し、席に着いてこれを開けばすぐに仕事場が完成するセット。 - 「電源」セット:
PC充電器、スマホケーブル、モバイルバッテリーを一つのメッシュポーチに集約。「充電したい」と思ったらそのポーチを取り出すだけで完結します。
■ 検索性を高める「見える化」
トヨタ式で言う「見える化」です。中身が見えないポーチは、記憶に依存するため検索コストを上げます。
中身が見えるメッシュ素材や透明なケースを選ぶことは、在庫管理(忘れ物防止)の観点からも合理的です。
4. アナログな道具を「クラウド」に置き換える
文房具が減らない最大の要因は「紙」です。物理的な質量を減らすには、情報の媒体を変えるのが最も効果的です。
■ 物理からデジタルへの移行
アイテム単体ではなく、「何をするためのセットか」という意味でポーチにまとめます。
- メモ帳をスマホへ:
ちょっとしたメモは音声入力やクラウドメモへ。検索性も向上します。 - 資料をタブレットへ:
重たい紙の束は、タブレット端末一台に集約。数百ページのマニュアルも、重量ゼロで持ち運べます。
【まとめ】カバンは「持ち運べる引き出し」である
優れたビジネスパーソンのカバンは、整理されたデスクの引き出しそのものです。必要なものが、必要な時に、ノールックで取り出せる状態を目指しましょう。
- 整理で無駄を捨て、整頓で定位置を決める。
- モジュール化で出し入れを最速にする。
■ オフィスの「場所」も使い分ける
道具を用途別にパッケージ化したように、オフィスの座席も「今の仕事」に合わせて選びましょう。
- YourDeskで「場所」を予約:
カバンの中身を取り出す前に、まずはスマホで席を確保。
「集中したいから壁際」「打ち合わせ前だから中央エリア」など、その瞬間の業務に最適な場所を確保することで、仕事の効率は最大化されます。
道具と場所。
この2つをコントロール下に置くことで、あなたの仕事はもっと自由になります。




