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「テレワーク可」は求人で有利になるのか?

テレワークが一般的になり、求人のページに「テレワーク可」を謳う企業が多くみられるようになりました。テレワークというものは求人において有利な条件なのかどうか、改めて詳しく見ていきたいと思います。

増加し続けるテレワーク企業

「働き方改革」で推奨され、徐々に導入企業が増えて行く中、コロナ禍を受け一気に浸透したテレワーク。総務省の情報通信白書を見ても、2020年で大幅にテレワーク実施企業が増えたことがわかります。

テレワーク導入率の推移 出典:「テレワーク導入率の推移」 情報通信白書令和5年版(総務省)より

IT技術の進歩により出社しなくても仕事ができるテレワークが実施可能になったため、アフターコロナもテレワークを続ける企業は多くあります。これからは求人の際に公開する情報にテレワークの有無を基本情報として明記する時代になっていくでしょう。

求人でも人気?テレワークの可不可

仕事を探す立場である新卒・中途求職者の方も、「テレワーク可」の求人を探す傾向になってきています。

国土交通省が発表したテレワーク人口実態調査によると、「雇用型テレワーカーのうち、約87%がテレワークの継続意向がある」という結果となっており、テレワークを経験したワーカーは今後も続けたいと思っていることがわかります。

テレワークの継続意向等 出典:「テレワークの継続意向等(テレワーカー)」 テレワーク人口実態調査(国土交通省)より

テレワークがワーカーにとって歓迎すべき働き方なのはなぜでしょうか。

上記グラフを見てもわかるように、ワーカーにとってテレワークは、通勤時間やそれによるストレスがなく、自分の時間を確保しやすくなるためワークライフバランスを取りやすいことがメリットでしょう。通勤時間にとられる時間、満員電車などで生まれるストレス、これらがないおかげで一日をそれまでよりも有効活用できるようになった人はたくさんいます。プライベートの時間を充実させることができ、メンタルの負荷が軽くなれば次の日の仕事のモチベーションも上がるので、そこにテレワークの効果を感じ継続を願う人が多いようです。また、テレワークは介護や子育て、転居などの家庭の事情にも対応できるという点も大きなメリットです。

2021年以降、アメリカをはじめとする欧米諸国でGreat Resignation(大量自主退職時代)と言われる現象が起きました。経済回復が進む中、大量の労働者が解雇ではなく自ら退職・転職しているという状況のことですが、これにはテレワークのメリットを体感したために、今後も柔軟な働き方を続けていきたいという人が増加したことが要因のひとつとして挙げられます。テレワークによるワークライフバランスの確保がいかに重要視されたかよくわかる現象と言えます。

新卒にとってのテレワーク

2020年以降の新入社員は大学でもテレワークの授業が多かった世代であるため、ツールを工夫してコミュニケーションを取ったり、生産性を確保したりすることができることを知っています。求人のサイトなどを見る時も、テレワークの有無はまず確認し、週に何日かはテレワークをしたい、もしくは完全テレワークをしたいと考える人が多いようです。出社の機会が必要と考えるのは、テレワークの孤独さ、コミュニケーションの取りにくさも知っているためであり、「出社とテレワークのハイブリッド希望、ただし慣れてきたら完全テレワークにしたい」という意見もあることから、これからの世代にはテレワークと出社が必要に応じて選べるような、フレキシブルな働き方が望まれていると考えられます。

企業にとってのテレワーク

テレワークは企業にとってもプラスになります。

  • コスト削減になる
    社員全員ではオフィスを使わない、という前提なら、オフィス面積を少なくすることが可能になり、家賃やデスクなどの必要経費を削減できる
  • DX化が進む
    社員が社内以外でドキュメントを閲覧したり、稟議などをネットワーク経由で申請しなければいけないため、書類のデジタル化やワークフローの整備が進む
  • 事業継続性(BCP)の確保が可能
    災害や感染症が発生したときに、出社せずとも各自が安全な場所で仕事をすることが可能になる
  • 持続可能な社会への貢献を望むことができる
    SDGsの17の達成目標のうち5つ(3.すべての人に健康と福祉を、8.働きがいも経済成長も、10.人や国の不平等をなくそう、11.住み続けられるまちづくりを、13.気候変動に具体的な対策を)をテレワークにより推進することができる

等のメリットがあります。

そして、前述のように、求職者がテレワークありの求人を希望する昨今の状況を考えると、

  • 人材確保に有利

ということになります。
(参考: 「テレワーク」これからも続ける?続けない?

現状の運営にとってのメリットもさることながら、テレワークを実施していくことから生まれる企業成長も望めます。そして「健全なテレワークを運用できている」ということは、多様化していく社会に向けてのアピールポイント・ブランディングとなるのです。

求人いうと観点においてテレワークは有利

人材確保という観点で見た場合、前述のようにテレワークを求める人が多いのは事実であり、求人においてテレワークは有効な武器となりえます。他が同程度の条件であれば、テレワークを導入しているかしていないかが、求人の結果を左右するということが今後起こってきます。

その反面、いくつかの有名企業が完全テレワークを廃止したことがたびたびニュースになっているのも事実です。廃止の理由として大きなものはコミュニケーションの不足やチームワークの欠如です。他にはオフィスを縮小する等の対策が取れないためコスト削減にならなかったり、社員にとってテレワークがメリットとならないなど会社によっての理由があります。ただしこの場合も、完全な廃止ではなく、出社とテレワークのハイブリッドで運用している例が多くあります。

テレワークを導入する、または継続するか悩ましいのであれば、他社がやっているからと安易に考えず、自社はどのように運用すればいいのか、まず現場の意見を収集し、ツールやルールの選定・見直しなどを行ってみましょう。今後の求人において、優秀な人材を広く集めていきたいと考えるのであれば、テレワークも自社の働き方としてアピールできるようにしていくことを考えておいてください。

まとめ

増加し続けるテレワーク企業

2020年で大幅にテレワーク実施企業が増えた

求人でも人気?テレワークの可不可

新卒・中途求職者の方も、「テレワーク可」の求人を探す傾向

新卒にとってのテレワーク

テレワークと出社が必要に応じて選べるような、フレキシブルな働き方が望まれていると考えられる

企業にとってのテレワーク

  • コスト削減になる
  • DX化が進む
  • 事業継続性(BCP)の確保が可能
  • 持続可能な社会への貢献を望むことができる
  • 人材確保に有利

等のメリットがある

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