フリーアドレス制のオフィスが増えたことにより、注目を集めているのが「ホテリング」です。聞いたことはあるけど詳しく知らないという人も、はじめて聞いた人も、この記事でホテリングについて学びましょう。まずは、ホテリングとは何かを解説します。次にメリットやデメリットを。最後に導入のポイントについてご紹介します。
そもそもホテリングとは?
ホテリングとは、フリーアドレス制を導入しているオフィスにおいて、社員自ら、席やブースを予約するシステムのことです。これは、1990年代にアメリカで提案されたオフィススタイルで、フリーアドレスから派生したものといわれています。
ホテリングを導入する目的は、従来社員の数だけある席を減らし、オフィススペースを有効活用することや、維持コスト削減などがあります。
ホテリングが今注目を集める理由を解説
昨今ホテリングが注目を集めている理由は、どんなところにあるのでしょうか。
まず考えられるのが、フリーアドレスの存在です。オフィスの省スペース化をはじめ、働き方改革や生産性の向上などの理由により、フリーアドレスを導入する企業が増えています。それに伴い、席を予約するシステムのホテリングを取り入れる企業が増えつつあります。
また、2019年に発生した新型コロナウイルス感染症も影響しています。コロナにより、日本の企業でもテレワークが実施されるようになりました。テレワークによって出社する社員の人数を制限し、オフィスでの密な状態を避けることができます。また、前述したフリーアドレスを導入することで、ソーシャルディスタンスを保て、飛沫感染防止になります。さらにホテリングによって感染経路の特定もしやすくなり、クラスターが発生したときなどに適切な対処が可能です。これらのことから、ホテリングが今、注目を集めています。
ホテリングのメリットとは?
ホテリングを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。見ていきましょう。
メリット①3密の回避になる
一般的なオフィスでは、多くの社員がひとつの空間を共有するため、コロナのクラスターの発生リスクが高いとされている「密接」「密集」「密閉」の3密状態になりがちです。しかしホテリングを導入すれば、混雑状況を可視化でき、人口密度の調整が可能なため、換気に気をつければ3密の回避に役立ちます。
メリット②衛生管理しやすい
ホテリングでは、だれがどこにいるのか、スペースを何人で使うのかなどがひと目でわかります。そのため、座席の使用後には消毒をする、感染症が発生した場合に感染経路を把握するといった衛生管理がしやすいのもメリットです。
メリット③勤怠管理しやすい
ホテリングを導入すると、勤怠管理がしやすくなるのもメリットのひとつ。ホテリングなら社員が席を予約して使うため、昨今のテレワーク導入により「どの社員が在籍しているかわからない」という問題も解消できます。
また、フリーアドレスで起こりがちな「だれがどこにいるのかわからない」という問題も、ホテリングを導入すれば座席を可視化できるので、すぐに見つけ出すことができます。これにより、特定の社員を探すのに時間がかからず、業務が滞ることもなくなるでしょう。
メリット④オフィスの省スペース化
ホテリングでは、席の利用状況を明確に把握できます。ほとんどの場合、社員数より少ない席で済むため、従来のオフィスよりも省スペースにできるのがメリットです。空いたスペースは、ミーティングスペースや商談スペース、カフェスペースといった別のことに有効活用できます。このスペースの有効活用により、社員の満足度も高まることでしょう。
メリット⑤状況に応じて席が使える
フリーアドレスでは、他部署の社員とコミュニケーションが取りやすくなったり、会社の活性化につながることがメリットですが、部署やチーム単位で作業がやりづらいのが難点です。しかしホテリングでは、部署やチーム単位での席の予約も可能。状況に応じて複数の席を予約できるのもメリットといえます。
ホテリングのデメリットとは?
ホテリングにはメリットがある一方、デメリットもあります。
デメリット①予約をするのが面倒
ホテリングのデメリットのひとつは、「席の予約するのが面倒に感じる」ことです。毎日予約をしなければならず、人によってはそれが煩わしいと感じることがあるかもしれません。
デメリット②デバイスがないと予約できない
ホテリングは、スマートフォンやパソコンから予約するのが一般的です。そのため、これらのデバイスがないと予約できないのが、ホテリングの難点といえます。
デメリット③席の固定化
毎日違う席を選ぶことが面倒で、いつも同じ席を予約する人が出てくる可能性もあります。そのような人が続出すれば、おのずと席が固定化されてしまい、せっかく導入したフリーアドレスのメリットが得られないでしょう。
ただし、ホテリングのシステムによっては、座席をランダムに決める抽選機能がついているものもあります。そういった機能を活用すれば、席の固定化を防げます。
ホテリング導入のポイント
ホテリングを導入するときのポイントをご紹介します。
ポイント①座席予約システムの導入
まずは、座席予約システムを導入しましょう。現在では、さまざまな座席予約システムがあり、その特徴や機能が異なります。座席予約システムを選ぶときには、次のポイントを抑えておくとよいでしょう。
- ・予約画面が操作しやすいか
- ・ウェブカレンダーとの連携
- ・座席抽選機能はあるか
- ・座席の使用履歴を記録する機能はあるか
- ・運営側が管理しやすいか
ポイント②定期的な改善
ホテリングを導入してはじめて、問題点が浮き彫りになることもあります。ですので、導入後も定期的に使いにくい点はないかなどの見直しを行い、問題やトラブルが発生した場合には改善するよう心がけましょう。導入後によくある問題点は、
- ・出社人数が多い場合に席が足りない
- ・会議室や個室ブースの取り合い
- ・座席予約システムが使いづらい
などです。
ポイント③密を避けるオフィスレイアウト
現在のオフィスレイアウトをチェックしましょう。出社する社員の人数が多かった場合、密になるようなレイアウトだと、社員の健康管理がうまくいかなくなる可能性があります。1日に出社する社員の最大人数を把握し、3密を回避できるようなオフィスレイアウトにすることも大事です。
ポイント④トラブルに対する対策を考えておく
現在のデジタル時代においては、ホテリングを紙の台帳で管理することは困難を極めるでしょう。どこにいても、いつでも、予約管理システムやアプリを利用して予約状況を確認できるようにしましょう。また、ホテリング運用時にトラブルが発生した場合の対策も、あらかじめ考えておくようにしてください。
ホテリングの導入を検討しませんか
ホテリングにはさまざまなメリットがあり、導入することで働きやすくなります。また、オフィスでのコロナ対策にもつながるでしょう。ホテリングの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
そもそもホテリングとは?
フリーアドレス制を導入しているオフィスにおいて、社員数より座席数を減らし、社員が席やブースを予約して使用するシステムのこと
ホテリングが今注目を集める理由を解説
フリーアドレスが浸透してきていること、コロナ禍によるソーシャルディスタンスの確保やクラスター発生時の感染経路の特定や対処のため、ホテリングを導入する企業が増えた
ホテリングのメリットとは?
- ・3密の回避になる
- ・衛生管理しやすい
- ・勤怠管理しやすい
- ・オフィスの省スペース化
- ・状況に応じて席が使える
ホテリングのデメリットとは?
- ・予約をするのが面倒
- ・デバイスがないと予約できない
- ・席の固定化
ホテリング導入のポイント
- ・座席予約システムの導入
- ・定期的な改善
- ・密を避けるオフィスレイアウト
- ・トラブルに対する対策を考えておく