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座席表システムの新たな役割とは? 働き方やオフィスの変化を支える座席表のシステム化

リモートワークが一般的になりつつある昨今、従来の固定席のオフィスでは不都合があり、フリーアドレスを導入する企業も増えています。フリーアドレス、リモートワーク、ABWなどは社員の管理が必須ですが、その効率化のために座席表システムを導入している企業も多くあります。
座席表システムには有料版と無料版がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。現代の働き方に合わせた座席表システムとはどのようなものなのか、また、どんな機能があるのかを解説します。

座席表システムとは

座席管理(プレゼンス管理)はフリーアドレスでも社員の所在がわかるように、社員がどこにいて、何をしているかを管理画面で可視化できるシステムです。近年、フリーアドレスを採用する企業が増加したことで、それを快適に運用するために座席表システムを導入する企業が増え続けています。
座席表システムは、どの席にどんな社員がいて、どんな業務にあたっているのかがパソコンやスマートフォンの画面上でわかるため、社員同士のコミュニケーションの活性化にも繋がるツールです。座席表システムは、リモートワーク中心のオフィスでは必要不可欠であり、導入により業務の効率化を実現できます。

座席表の役割

そもそも座席表とは、壁に貼るなどして、どこに誰が座っているのかを周知するアナログツールであり、席替えのとき以外は更新をしなくてすむため、固定席だからこそ意味を持つものでした。
しかし、フリーアドレスが普及する中で、座席表はこれまでとは違った意味合いを持つようになりました。フリーアドレスの座席表はデジタルツールとなっており、どの席にどの社員がいるかだけでなく、出退勤、業務状況の把握もできるようになっています。
テレワークの社員も増えている昨今、座席表も時代とともに役割を変化させているのです。

アナログの座席表が適用される固定席の弊害

オフィスでの固定席は、座席表を頻繁に更新する必要がないことも含め、企業側からすると運用が楽な部分もあったでしょう。しかし、社員側からすると、固定席によってさまざまな不都合を感じる場合もあるようです。ここからは、固定席で発生しうる問題について解説します。

プライバシーが考慮されていない

従来の固定席では、デスクとデスクが隣接し、衝立もない場合が多く、プライバシーへの配慮が不足していた部分もあったことでしょう。また、席同士の間隔も狭く、息が詰まる感覚を覚える人もいるかもしれません。

コミュニケーションが取りづらい

固定席のオフィスは社員同士の席が近く、連携が取りやすい反面、コミュニケーションを取りづらい側面もあります。少人数での相談事やプライバシーに関わる内容は、固定席では話しにくいからです。
また、社員同士のコミュニケーションや人間関係は、仕事を進めるうえでも重要になります。固定席では、近くの社員とコミュニケーションを取りやすい一方、交流できる人物が限られてしまうといった問題も挙げられるようです。

上司の存在が気になる

固定席で最も大変なのが、苦手な上司が常に近くにいて自分を監視しているように感じることです。固定席では特段の事情がなければ席が変わることはなく、何年も同じ席で過ごすことも珍しくありません。
また、自分の席が上司の近くであれば、常に視線や存在が気になってストレスになってしまうこともあるかもしれません。

変化する働き方やオフィス環境

働き方の多様化によって、オフィス環境にも変化がもたらされています。新しい働き方といわれる、リモートワーク、フリーアドレス、ABWについて、それぞれの特徴を見ていきましょう。

リモートワーク

リモートワークとは、直訳すると「遠隔で働く」となり、その名の通りオフィスから離れた遠隔地で働く勤務形態を言います。
リモートワークと似たような言葉としてテレワークが挙げられますが、テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を用いた、場所や時間にとらわれない働き方を指します。
テレワークにはこのように明確な定義がありますが、リモートワークについては未だ曖昧であり、オフィス以外で働くこと全般をいう場合が多いようです。
しかし、実際には「リモートワーク=テレワーク」と考えても問題はなく、パソコンなどを利用して本社とのやりとりを進め、自宅などで各々の仕事を行うことを指しています。

フリーアドレス

フリーアドレスとは、オフィスの席を自由化し、出社した社員が好きな場所で仕事ができるシステムです。
以前のオフィスであれば、デスクにパソコンを設置し、黙々と作業を進めるのが一般的でした。現代ではパソコンの小型化・高性能化、コミュニケーションツールの普及により、デスクに縛られる必要がなくなりました。
社員がオフィス内で自由に働く場所を選択し、チームや部署に縛られない社員同士のコミュニケーションを活発化できることから、企業の生産性を上げる効果もあります。

ABW

ABWは「Active Based Working」の頭文字を取ったもので、社員が働く場所と時間を自由に選択できるシステムです。ABWではオフィスにこだわることなく、自宅やカフェ、旅行先でも自由に働けるワークスタイルです。社員の裁量で働く場所も時間も選べるため、非常に自由度の高い働き方が実現できるでしょう。

現在の座席表システムにできること

リモートワークやフリーアドレス、ABWの導入において欠かせないのが、デジタルツールとしての座席表システムです。現在普及している最新の座席表システムとはどのようなものなのでしょうか。メリットや各種機能を紹介します。

座席予約・ユーザー検索

座席予約・ユーザー検索機能とは、オフィスの席予約や社員の居場所を検索する機能です。予約は数か月先まで可能な場合が多く、別の社員の座席を代理で予約することもできます。
また、座席利用時間の解析、フロアごとの座席利用率、Google・Microsoftカレンダーとの連携なども可能なツールが一般的です。

ユーザーログイン

社員が座席表システムを使用するときには、QRコードの読み取りやカードを専用の端末にかざすだけで簡単にログインできるものが主流でしょう。ログインに手間が掛かると使い勝手が悪く感じますが、スムーズにログインできれば不便さも感じにくいはずです。

管理

フリーアドレスで座席を管理する際、パソコンやスマホの画面に表示される座席表がオフィスのレイアウトに近いものでなければ意味がありません。オフィスのレイアウトに合わせて座席や図面を登録する機能は、多くの座席表システムが搭載しています。
また、社員の管理と座席の利用状況の振り返りのため、座席のログを管理する機能があればなお良いでしょう。
座席表システムは、社員の管理を効率化できるうえ、フリーアドレスを適切に運用できる重要なツールと言えます。

無料の座席表システムのメリット・デメリット

無料の座席表システムは、コストを大幅に抑えつつ、独自のカスタマイズ性が高いというメリットがあります。有料の座席表システムに比べると、各企業に適応する自由度の高さ、利用しやすいシステムを作りやすいメリットもあります。
デメリットとしては、実際に運用するまでに時間がかかること、また、システム開発と運用管理に専門的な知識とスキルを必要とする点には注意が必要です。
無料の座席表システムはコストが安く済む分、社員や管理者に多くの負担が掛かってしまうことを理解しておきましょう。

座席管理システムは自作できる?無料・有料のメリットやデメリットを解説

有料の座席表システムのメリット・デメリット

有料の座席表システムはコストがかかる分、多くのメリットのあるツールです。まず、導入が非常に簡単、かつスピーディに進められます。
特別な機材は不要で、パソコンやタブレットだけでも運用できます。無料のものとは違い、初めから必要な機能は一通り揃っており、カスタマイズが不要な点もメリットとして挙げられます。
席の固定化やグループ化の予防、座席状況と業務内容を把握する機能もあり、社員管理がやりやすくなるでしょう。また、社員にとっては、チームや部署を超えた社員同士の交流が促進され、連携も取りやすくなります。
一方で、有料の座席表システムは、導入コストとランニングコストが発生します。また、人によっては操作方法を覚えるのが難しいこともあるかもしれません。新しいシステムの扱いに苦手意識を持つ社員のためにも、研修や個別の教育など何らかの対策が必要になるでしょう。

座席管理システムは自作できる?無料・有料のメリットやデメリットを解説

自社に合った座席表システムを選択しよう

フリーアドレスやリモートワークが一般化する中で、座席表システムの重要性も増しています。新しい働き方を採用しても、単に制度を導入しただけではトラブルの元です。
社員の出退勤管理と所在確認、業務効率化を図るには、座席表システムとの組み合わせが必須になります。ただし、座席表システムを導入するにしても、自社の事業やオフィスのレイアウトなどを鑑みて、条件に合うものを選びましょう。最適な座席表システムを選ぶことで、社員の生産性が伸びていくはずです。座席表システムの特徴とメリット・デメリットを調査し、自社に合ったシステムを選択してください。

まとめ

座席表システムとは

どの席にどんな社員がいて、どんな業務にあたっているのかがパソコンやスマートフォンの画面上でわかるツール

座席表の役割

固定席の場合は席替えがない限り更新されないものだったが、フリーアドレスが普及した今はデジタルツールとしてリアルタイムに座席状況をわかるようにするもの

アナログの座席表が適用される固定席の弊害

  • プライバシーが考慮されていない
  • コミュニケーションが取りづらい
  • 上司の存在が気になる

変化する働き方やオフィス環境

  • リモートワーク:オフィスから離れた遠隔地で働く勤務形態
  • フリーアドレス:オフィスの席を自由化し、出社した社員が好きな場所で仕事ができるシステム
  • ABW:「Active Based Working」社員が働く場所と時間を自由に選択できるシステム

現在の座席表システムにできること

座席予約・ユーザー検索、ユーザーログイン、管理

無料の座席表システムのメリット・デメリット

メリット:コストを大幅に抑えつつ、独自のカスタマイズ性が高い

デメリット:実際に運用するまでに時間がかかる、システム開発と運用管理に専門的な知識とスキルを必要とする

有料の座席表システムのメリット・デメリット

メリット:導入が簡単でスピーディ、カスタマイズ不要

デメリット:導入コスト・ランニングコストがかかる、操作を覚えるのが苦手な社員を考慮しなければならない

フリーアドレスの座席管理システムとは?