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ホテリングを徹底解説!基礎知識からメリット・デメリット、導入のポイントまで

ホテリングという新しいオフィスの形をご存知でしょうか。30年ほど前にアメリカで提唱されたシステムですが、テレワークの浸透によって改めて注目され始めています。今回は、ホテリングのメリット・デメリットから導入の問題点、導入の方法までを紹介します。ホテリングを成功させるには何が必要になるのかも解説しますので、導入を検討中の方はぜひ本記事を参考にしてみてください。

ホテリングはなぜ今、注目されているのか

ホテリングは、社員がオフィスの席を選択・予約するシステムのことです。ホテルの客室予約をオフィスの席で行っているものと考えるとわかりやすいでしょう。
実は歴史が長く、30年前からアメリカで提唱されています。ホテリングはフリーアドレスと同様、省スペースとオフィスのコストカットを目的としたもので、営業職のような不在者が多いオフィスで導入されました。オフィスの席を減らしつつ、予約制にすることで席がなくて困ることがないよう配慮されています。
ホテリングが注目されるようになった背景には、テレワークやリモートワークを導入する企業が増えたことがあります。
コロナウイルスの拡大によって、オフィスに出社する人が減り、省スペース化とコストカットを意識する企業が増えたからです。ホテリングは現代のワークスタイルに適したオフィスの在り方のひとつと言えるでしょう。

ホテリングのメリット

ホテリングにはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。ホテリングの導入には企業にとって5つのメリットがあります。

  • 3密の回避
  • 衛生管理がしやすい
  • 勤怠管理がしやすい
  • オフィスの省スペース化
  • 状況に応じて自由に席を利用できる

ホテリングは席を予約し、オフィス内の席を自由に利用できるメリットがあります。会社としては余分な席をなくし、オフィスの省スペース化ができるメリットもあります。
省スペース化すれば、オフィスのコストカットにもなるため、経費の面でも大きなメリットと言えるでしょう。
また、従来のオフィスの懸念点として、社員同士がひとつの空間で3密状態になるというものがありました。
ホテリングでは席を予約できることから、社員同士の物理的な距離を空けやすく、3密回避しやすいというメリットがあります。加えて、誰がどの席を利用しているのかを把握できることから、濃厚接触者の特定も容易です。
そして、ホテリングでは社員の在籍の有無がわかりやすいため、業務の効率化を考えても、ホテリングには多くのメリットがあります。

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ホテリングのデメリット

ホテリングには多くのメリットがある反面、デメリットもあります。どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。

  • 予約に手間がかかる
  • パソコンやスマホがないと予約できない
  • 席が固定化しやすい

営業職以外では、会社に毎日出勤する人のほうが多いのが一般的な企業でしょう。すると、ホテリング自体が毎日の作業になります。毎日、予約するのは社員にとってかなりの手間になり、予約をとり忘れて困ることもあるでしょう。 また、席を予約するにはパソコンやタブレットなどのデバイスが必要です。そのため、手元にデバイスがないと予約ができないのもデメリットと言えます。
そして、席が自由に選べるとはいえ、選択するのは社員の自由意志に任されています。せっかく自由に席を選べる状況であっても、それぞれがお気に入りの席を選び続ける懸念もあります。実質的に固定席となってしまい、ホテリングのシステムを導入した意義を見失う可能性もあるでしょう。
こうしたデメリットも理解したうえで、ホテリングを効率的に運用するシステム構築を進めることが重要です。

ホテリングとは?メリット・デメリットから導入の手順まで解説!

ホテリングで起こりがちな問題点・失敗例

ホテリングは企業・社員ともにメリットがありますが、ホテリングならではの問題点や失敗例もあります。どのような問題点があるのか見ていきましょう。

  • 予約システムを使いこなせない
  • 席に偏りが出やすい
  • ソーシャルディスタンス確保が難しい

ホテリングでは予約を行うのは社員であり、どのようなシステムを導入したかによって、取り扱いが変わってきます。多機能で便利なシステムでも、社員が使いこなせなければ失敗の元になります。
また、社員の判断で自由に席を選べるため、席の人気に偏りが出やすいことも考えられます。仕事を進めるうえで働きやすい席は人気が高いものの、陽当たりが強い場所などは不人気になりやすいでしょう。一部の席に人が集中してしまえば、ソーシャルディスタンスの確保も難しくなります。
ホテリングを導入する場合、想定される問題点への対策を練り、定期的に検証をしながら進めましょう。

ホテリングはストレスがたまる?ホテリングの問題点から解消法まで解説

ホテリングの問題を解決するルールづくり

ホテリング運用の問題点を解決するためには、ルール作りが大事です。どのようなルールを作るべきなのか、具体的に例を挙げます。

  • 同じ席を連続して使用しない
  • 1ヶ月先まで予約可能にする
  • 使用できる席を限定する
  • 1日の最大出社人数を定める
  • 定期的にルールの見直しを行う

ホテリングの問題点を解決するには、席の固定化を防ぐため、2日続けて同じ席を使わないような対策を打つのが効果的です。どの社員にも平等に席を選ぶ権利が与えられるようにしましょう。
また、毎日席を予約するのは手間が掛かるので、最大で1ヶ月程度先まで予約可能にしておくことをオススメします。この際も同じ席を連続して選べないように、対策を徹底してください。
ソーシャルディスタンスを意識する観点から、席同士の間隔を開けること、1日の出社人数を制限することも大事です。社員の出社状況や席の稼働率から最適な人数を想定し、ソーシャルディスタンスを確保した席の取り方にします。
そして、上記の対策を施したうえで、定期的に効果を検証、見直しを行いましょう。社員が不自由を感じないホテリングの運用を心掛けてください。

ホテリングには事前準備が重要!ホテリング導入のポイントを解説

ホテリングの導入方法

ホテリングのシステムを導入したら、その日から実働が可能です。しかし、導入までに段階を踏んで、問題なく運用できる体制を整えたほうがいいでしょう。

ホテリングを導入するまでの流れを紹介します。

  • 1.導入のイメージとルール案の想定
  • 2.試験導入からスタート
  • 3.利用ルールの策定
  • 4.適合するホテリングシステムを選択
  • 5.本格導入に向けたオフィス環境整備

ホテリングを導入する前に、まずは導入後のイメージやルール案を想定し、社内の検討チームで共有します。1日の出社人数・予約可能な日数・固定席化への対策など問題になりそうな点も一つひとつ洗い出します。
それから、自社の目的に適合するホテリングシステムを選択しましょう。システムによって操作性が異なるため、社員の働き方に合ったものを見極めてください。次にチームや部署単位の小さな範囲から試験導入し、実際に使用してみての課題と解決策を振り返りましょう。PDCAサイクルが上手く回るように運用し、導入までにできる限り課題と解決策を模索します。
試験導入後は本格導入前に利用ルールを策定しましょう。一通りの体制が整ったら、本格導入に向けてオフィス環境を整備してください。ICT環境やレイアウト、ソーシャルディスタンスの確保など働きやすい環境を意識することが大事です。

ホテリングの導入方法を解説!導入の流れから成功させるポイントまで解説

ホテリングを成功させるには

ホテリングは席を自由化でき、社員同士のコミュニケーション、生産性の向上、自由な発想を促すワークスタイルです。ただし、成功させるには会社側でも取り組むべきポイントがあります。

  • 座席予約システムを活用する
  • 社員に運用ルールを周知・徹底する
  • クラウドサービス・ツールを利用する

ホテリングを導入・運用するなら、席の利用状況だけでなく、社員の在籍、勤怠管理、稼働率など機能性の高い座席管理システムを活用するのがおすすめです。社員にとっての働きやすさだけでなく、管理者にとって社員の管理がしやすいかが重要になります。
また、当然ながら管理者・社員に会社内で定めた運用ルールを周知・徹底させ、社員全員にホテリングの目的への理解を促します。そして、コミュニケーション活性化のためにも、クラウドサービスを利用したコミュニケーションツールが必要です。
ホテリング自体が社員同士の障壁とならないように、いつでも連絡と情報共有ができる状態を保ちましょう。

ホテリングが失敗する原因とは?【事例付き】

ホテリングを正しく導入し生産性を向上させよう

今回はホテリングを進めるうえでのメリット・デメリット、導入に向けてのポイントを解説しました。ホテリングはフリーアドレスが派生したひとつの形として、最近では導入する企業も増えています。
しかし、メリット・デメリットをしっかりと理解し、企業の特性に合わせたルール作りをしなければ、せっかくの優良なシステムでも上手く機能しません。ホテリングの問題点を理解し、正しい運用方法で生産性を向上させてください。

まとめ

ホテリングはなぜ今、注目されているのか

ホテリングは、社員がオフィスの席を選択・予約するシステム
30年前からアメリカで提唱されているが、省スペース化・コストカットを意識しテレワークやリモートワークを導入する企業が増えたためさらに注目されている

ホテリングのメリット

3密の回避、衛生管理がしやすい、勤怠管理がしやすい、オフィスの省スペース化、状況に応じて自由に席を利用できる

ホテリングのデメリット

予約に手間がかかる、パソコンやスマホがないと予約できない、席が固定化しやすい

ホテリングで起こりがちな問題点・失敗例

予約システムを使いこなせない、席に偏りが出やすい、ソーシャルディスタンス確保が難しい

ホテリングの問題を解決するルールづくり

  • 同じ席を連続して使用しない
  • 1ヶ月先まで予約可能にする
  • 使用できる席を限定する
  • 1日の最大出社人数を定める
  • 定期的にルールの見直しを行う

等のルールを自社に合わせて設定する

ホテリングの導入方法

  • 1.導入のイメージとルール案の想定
  • 2.試験導入からスタート
  • 3.利用ルールの策定
  • 4.適合するホテリングシステムを選択
  • 5.本格導入に向けたオフィス環境整備

ホテリングを成功させるには

座席予約システムを活用する、社員に運用ルールを周知・徹底する、クラウドサービス・ツールを利用する

ホテリングとは?メリット・デメリット、導入のポイントを解説