フリーアドレスはなぜうまくいかないのか?
まず、フリーアドレスがうまくいかない企業の「なぜ?」を確認しましょう。
ここでは、フリーアドレスでの業務がうまくいかないときに確認したい4つのポイントを紹介します。
①人を探す手間がかかる
フリーアドレスの課題として「人を探す手間」が挙げられます。例えば、これまで固定のデスクで仕事をしていた場合、自分が話しかけたい人は常にどこにいるかが分かりました。しかし、フリーアドレスになると座席管理を行わなければ、自分の用事がある人がどこにいるかわからず、フロア中を探し回るなんてことにもつながります。
そうなると、わざわざ席を立って探しにいくのが億劫になり「後で聞こう」が発生します。後で聞くのは非常に厄介で、分からないことが蓄積し業務は滞ります。
「後で」が積み重なり、仕事が進まなかったり大事なことを聞き漏らしてしまったり、やがて大きなトラブルにつながる可能性があります。
②集中できない
フリーアドレスの「どこにでも座れる」というメリットが、「集中できない」になる従業員も見られます。例えば、同じ席で同じ仕事をこなすからこそ仕事のスピードが早かったけれど、フリーアドレスになりいつも違う席だと「そわそわして仕事が捗らない」という人も見られます。
一人のビジネスマンとしては、いつでもどこでも一定のパフォーマンスをできるのが好ましいものの、やはり人によっては「集中できない」「業務効率が落ちる」という結果につながることもあります。
③固定メンバーで集まる
フリーアドレスにしているにも関わらず「結局、固定のメンバーで集まって仕事をしている」という悩みも多く見られます。企業が部署間の交流を盛んにし、アイディア創出を目指そうと考えていても、必ずしも望ましい形になるとは限りません。
業務のやりやすさやコミュニケーションの取りやすさから、どうしても同じ部署の人と固まってしまい、全部の部署を同じフロアに集めただけ、の状態になる可能性もあります。
フリーアドレスの恩恵を十分に受けられない場合、オフィスのコンパクト化を達成できたとしても、本質的には現状維持にとどまってしまうでしょう。
④結局、席が固定される
フリーアドレスがうまくいかないと、席が固定されてしまいます。固定メンバーで集まってしまったり、自分が居心地の良い席を従業員が選択してしまったりすると、フリーアドレスの存続すら危ぶまれます。こうなるとフリーアドレスを推進した意味そのものが問われてしまうため、すぐに対処が必要です。
フリーアドレスのオフィスでやめたほうがいいこと
ここからは、フリーアドレスのオフィスでやめたほうがいい4つのポイントを紹介します。
フリーアドレスがうまくいかない原因としては「従業員が煩わしさを感じる」ところにあります。従業員が抱える煩わしさを知り改善することで、フリーアドレス本来の良さを活かせます。
ルールが皆無
第一に、フリーアドレスのルールが何も設けられていない場合、従業員は戸惑います。フリーすぎるオフィスは無秩序であることから、一部の従業員から反感を買いやすかったり独自のルールで従業員が優遇されてしまったりというものが見られます。
この実情は管理職から見えず、現場のみが感じ取れる課題です。しかし、担当者がそれを見逃してしまうとフリーアドレスのあり方だけでなく、企業の風通し悪化にもつながります。
目的を共有しないスタート
フリーアドレスを導入した際、なぜフリーアドレスを実施するかの目標がなく、指針がないスタートではうまくいきません。なんとなくで始めると効果も出ず、継続も難しくなります。フリーアドレスを始める前に、コミュニケーションの活性化、社内の透明化など目指す姿を掲げることが必要です。「始めてみよう」でスタートしたら、やってみる日々の中で目指す姿を提示し、調整を図る努力も大事になります。
向いていない部署に導入
向いていない部署へのフリーアドレス導入も検討した方がよいでしょう。例えば、全員がオフィスにはいないことが多い営業部署なら、普段はフリーアドレスでオフィスの有効活用が図れますが、出社する曜日が決まっていて、席と同じ数の部員が出社してくるとしたら、あまり効果を感じにくいかもしれません。
また、人が滞在していたとしても、セキュリティの観点からリスクが伴うのであればフリーアドレスはおすすめできません。フリーアドレスが向いているか向いていないかも注意したいポイントです。
いまだに「紙管理」がメイン
いまだに業務のほとんどが紙ベースの管理の場合もフリーアドレス前に改善が必要です。紙主体の業務を行っていると、どうしてもフリーアドレスでは利便性が悪くなります。
例えば、紙資料が多いと毎日自分の席を片付けて退社する必要があるフリーアドレスを面倒にかんじるかもしれません。あるいはFAXをとってくる行為や電話を取る行為は「その機器の近くに座りたくない」と思うのが人の心情です。そのため、フリーアドレスを実施する前に、紙のあり方や業務の効率化から着手することも検討しましょう。
デメリットしかない!を解決する方法
ここまでフリーアドレスが抱えるデメリットや悩みを紹介してきましたが、どの課題にも解決法があります。原因を特定し、一つひとつ解消していくことで、効果の出るフリーアドレスを実現できるでしょう。
ここではフリーアドレス最適化に向けて4つの解決法を紹介します。
オフィスのレイアウトをチェック
現状のフリーアドレスで不満が蓄積する場合は、物理的な改善から着手しましょう。まずオフィスのレイアウトをチェックしてみます。共用のワゴンが不足していたり、座席の配置が従業員にとってコミュニケーションが取りづらいものだったりと課題が見つかります。
特に、「人を探す」「ものを探す」といった点で不便が生じていないかは重視したいポイントです。
参考記事:環境を改善すべきオフィスの特徴とは?職場改良のメリットや方法をチェック
ペーパーレスを推進
業務のあり方がフリーアドレスに適していないのであれば、ペーパーレスを推進しましょう。例えば、必要な資料をいちいち所定の場所に取りに行かなければいけないといった場合は、データの電子化も検討します。
従業員が今日選んだデスクで極力動かずに仕事ができるかを基準にペーパーレスを推進します。ただし、ペーパーレスを推進する際は、すべて急に紙をなくすといった意気込みはおすすめできません。できることから少しずつを心がけましょう。
チーム間でルール決め
無秩序なフリーアドレスは失敗のもとです。チーム間や会社でルール決めを行いましょう。ルールは従業員任せではなく、最初は企業や担当者主体で設定してみるのがよいでしょう。ただし、トップダウンで必ずこのルールに従ってもらうのではなく「どのようなルールがあったら仕事を行いやすいか」とコミュニケーションをとりながら決定していくのがポイントです。
席を選ぶルールを会社が決める
フリーアドレスの悩みとして「席を選ぶ」というものが挙げられます。フリーゆえにどこに座っていいかわからない、職場の人間関係を考えたら「この席に座らないほうがいいだろう」といった現場ならではの気遣いに疲れることもあります。
その場合はシステムを導入したり、席を予約する際のルール決めも行いましょう。例えば「3日間連続で同じ席に座らない」「予約は何日前に済ませておく」などといった取り決めがおすすめです。
YourDeskは、フリーアドレスの円滑なコミュニケーションを実現する座席管理システムです。
「フリーアドレスはデメリットしかない」を乗り越えた未来
「仕事は決まった席で行うもの」という概念がまだまだ消えない中、フリーアドレスの浸透には課題が多くあります。しかし、デメリットを乗り越えた未来には企業にとって明るい未来が待っています。
部署を超えたアイディア創出
フリーアドレスでは、部署を超えたアイディア創出が期待できます。これまで自分の部署のみでの凝り固まった思考だけに触れていた場合、他の部署の発想や客観的な意見を聞くことで、扱う商品やサービスの新たな価値に気づけることもあります。
例えば、文具を扱う会社の営業職がバックオフィスの人と一緒に仕事をすることになった場合、実際の使用感をダイレクトにヒアリングしながら商品の開発や営業活動に活かせます。コミュニケーションポイントが増えて、自分たち以外の声を聞ける点が、フリーアドレスのメリットです。
業務効率化
フリーアドレスでの部署間を超えた交流は、業務効率化にもつながります。自分の部署はこのように業務を進めるべきだと考えていても、他の部署から見ると「もっと効率化できるのに」というケースもしばしば見られます。フリーアドレスで業務の固定化から脱却し、コミュニケーションを増やすことは、会社全体の業務効率化にも役立ちます。
開けた会社へ
フリーアドレスで社内のコミュニケーションが活性化されると、社内の透明度が高くなり、開けた会社へと発展します。また、これまで部署間での対立があった場合もコミュニケーションの機会増加から齟齬を減らせます。
特に、企業で起こりがちな「最前線で戦う人」と「会社のバックオフィスを司るもの」との関係性は、多くの企業が抱える課題です。しかし、お互いを普段から知ることで、立場が違う部署間で歩み寄れる可能性もあるでしょう。
採用にも良い影響が
会社の透明化やイメージの向上が、やがて自社の採用活動にも良い影響を与えます。ハイブリッドワークに伴うフリーアドレスの推進をアピールすると、会社のイメージが外部にも伝わり、自社の雰囲気にマッチした人材が集まりやすくなります。
マッチする人材の採用は、社内の士気が高まるほか、離職率低下による会社の人財資産構築にも寄与します。フリーアドレスを通して透明性の高い企業を作り上げることで、やがて会社全体の成長や明るい未来にもつなげられるのです。
まとめ
フリーアドレスの実施は、従業員からのネガティブな声や経営層との認識の違いから担当者が頭を抱えるポイントです。しかし、実際に起こっている問題を一つひとつ解決することで定着させることは可能です。
現場の声を汲み取りながら、適切なツールを導入したり、環境を改善したりとスモールステップで課題を解決していきましょう。
フリーアドレスの推進は、担当者にとって骨が折れる仕事かもしれません。しかし、成功すると会社全体の明るいビジョンに貢献できることになるでしょう。